特集/コラム

【選ばれし者たち】2008-01-16

国内最大規模の動物病院になったワケ(本間獣医科医院院長 本間克巳さん)

1959年3月生まれ。O型。1981年に北里大学獣医畜産学部獣医学科を卒業し、1984年に本間獣医科医院磐田本院を開設。静岡県を中心に全国で43病院を直営で経営し、その規模は国内最大を誇る。最新の医療設備を備えながらも、薬や治療に頼らない「予防医療」に特化し1日でも長くペットが健康に生きられるようにと形態に合った自然食や飼い方の見直しを提唱している。また獣医師としてのボランティアにも力をいれており、20年以上犬猫の里親探しを地元ラジオなどで呼びかけている。2006年からはフィリピン、ベトナム、タイなどで動物福祉事業の一環として狂犬病の予防接種を無償で行い、そのワクチン提供数は現在で10万本に上る。

正確な情報発信のために病院過疎地区への新規開院を進めた

−獣医になったきっかけは何ですか?
私が獣医を目指したのは、将来牧場を経営しようと思っていたからです。動物のことを学ぶなら獣医になるのが一番良いと思って。ビジネスとして医業に興味もありましたしね。しかし獣医になってから、対象であるペットを取り巻く情報がとても偏っていることに気付き、エサのやり方やしつけ、診察方法など正確な情報を発信するためにも多くの窓口を持ちたいと思うようになり、優秀なエンジニアや業務開発スタッフを募集して、各地に開院していくことにしました。

特色として、24時間診療をされていますが。
開業して25年間、本院の電気は1度も消したことがないんです。
動物たちの命にかかわる仕事をしているのだから24時間受け付るのが当たり前だと思って獣医になりましたからね。
診察では、「予防医療」に特化して、カウンセリングによる「食や飼い方の見直し」を提案しています。現在は飼い犬のほとんどが、チワワやミニチュアダックスのような血統書付きの純粋犬種で、形態別にかかりやすい病気を持っているから、正しい知識を持って予防することがとても大切なんです。

「ペットの家族化」で見えなくなる地球環境の現状

-ペット人口が人間の子供の人口を追い抜いたそうですが。
こんなに世の中にペットが蔓延している状態は自然界から見てアンバランスですよ。逆に野生の動物たちは減少し続けているから、このままだとペットと家畜以外は、動物園まで行かないと見られなくなる日が来るんじゃないかな。

かなりの種類が絶滅しているそうですね。
驚くべき加速度で、動物も植物も絶滅していますよ。1日に約100種、年間で約4万種が絶滅しているそうだから、もう国家レベルで動いても止めることが出来ないのではないかな。犬なら、日本にいながらほぼ世界中の犬種が手に入れられるのに皮肉なことですよね。可愛いペットの情報ばかりじゃなくて、絶滅していく動物や植物の情報にももっと目を向けるべきだと思います。

年間数千頭の里親探しと無償の狂犬病予防接種

−ペットビジネスについてどう思われますか?
ペットでビジネスをしていると言ったら、私もその一人でしょう。捨て犬の里親探しで、犬を譲渡する際にワクチン代をもらったことで「捨て犬でも金儲けしている」と言われたことがあります。それでも20年以上続けて年間何千頭も里親を見つけているのは、獣医として社会的な貢献をしたいという気持ちからです。殺処分場の民営化ができたら、間違いなく名乗り出ますよ。今よりもっと情報を開示して里親を見つける活動をするつもりです。

狂犬病の予防接種を世界各国で行われているそうですが?
日本では狂犬病は撲滅されたと言われていますが、世界中では毎年5万人以上が亡くなっているんですよ。狂犬病が蔓延している国はワクチンが十分にそろえられない貧困地域がほとんどで、ボランティアの助けが必要だと知り、2年前から参加しています。そうした貧しい国で何億もの人々が飢えに苦しんでいるのを目の当たりにすると、なんて日本は豊かなんだろうと強く感じますね。そしてその豊かさこそが、残酷な現実を生んでいると思います。

お金で命は創れない—事業規模の拡大で命の尊さを伝えたい

豊かさが残酷だと思うのはなぜですか?
飢えや戦争で明日死ぬかもしれない人は、ペットを飼いたいとは思わないでしょう。だからペットを飼えるということは、地球上の人類の中ですごく恵まれているということです。しかし、当たり前に恵まれていると、物欲を満たすためだけの買い物をしたり、食べ物を平気で残したり捨てたりする。それによって必要以上に家畜が殺されたり、ペットが年間何十万匹も殺処分されることになるのは、経済的豊かさが招いた残酷な現実ではないでしょうか?

人間が豊かになってロボットやクローンが作れるようになっても、他の生命を生み出すことはできないんですよね。それだけ命は尊くて価値があるものなのだから、自分の欲ばかりでなく、もっと広い視野で生命を大切にしていく意識を持つべきだと思います。私はこれからも獣医業を通じて、事業規模の拡大をしながら正しい情報の公開と、社会的貢献を行っていきたいと思います。


−では最後に、名古屋駅周辺について一言お願いします。
名古屋の緑区と港区に2か所開院しているのですが、愛知県はペット所有率が全国でトップクラスなので需要はとても大きいです。名古屋駅周辺に関しては、次々に新しいビルが建ちエネルギッシュな感じを受けますね。これからの発展も楽しみにしています。

本間獣医科医院



聞手:メディアジャパン 
代表取締役 宮崎 敬士
校正:梅田 和代

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