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シネマスコーレで田端義夫さんドキュメンタリー映画-田村孟太雲監督、来名

来名した田村孟太雲監督

来名した田村孟太雲監督

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 名駅の映画館「シネマスコーレ」(名古屋市中村区椿町8、TEL 052-452-6036)で7月27日から、歌手・田端義夫さんのドキュメンタリー映画「オース!バタヤン」が公開される。公開に先立ち、来名した田村孟太雲監督が作品の見どころを語った。

「バタヤン」の愛称で親しまれた田端義夫さん

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 同作は今年4月25日に94歳で逝去した田端さんの生前の音楽活動を撮影したドキュメンタリー。田端さんは三重県松坂市出身。1939(昭和14)年に「島の船唄」でデビューし、数々のヒット曲をリリースして人気歌手となる。「バタヤン」の愛称で親しまれ、多数の時代劇や喜劇映画にも出演したエンターテイナーだ。

 映画では2006年に大阪府鶴橋で行われたステージを中心に、ヒット曲を網羅。田端さん本人や家族のインタビュー、立川談志さんや白木みのるさんら縁(ゆかり)のある人々の証言など、さまざまな映像で不世出の歌手の魅力を伝える。

 20年ほど前に大阪でステージを見て、感銘を受けたという田村監督。「そのころはドキュメンタリーを撮ったことがなかったので感銘だけで終わっていたが、いつか映画表現の中で何かできればと漠然と思っていた。その後、フォークシンガーの高田渡さんのドキュメンタリー映画の制作を経験するなど、魅力的な人間を撮ること、記録しておくことは価値があると感じ、それから気になる人たちのドキュメンタリーに精力的に取り組み始めた」と振り返る。

 監督が気になる人たちとは、「アーティストとして残しておきたい人」。「高田さんや、こまどり姉妹も知る人ぞ知る、評価されている人物ですが、私からすると評価が足りないだろうと感じる。残さないと世の中から素材がなくなるかもしれないと危機感を持っていたし、自分がやる意味があると思った。これからも日本の音楽のレジェンドになるべき人を、記録していきたい」と話す。

 本作では、田端さんの若き日の映像も加え、17曲を歌う姿も堪能できる。「大阪のステージは浜村純さんの構成。その構成に準じてインタビューや、昭和の映像などを加えている。定番中の定番は入っているが、曲数は絞らざるを得なかった。この映画は田端さんの入門編。好きな方は映画に関係なく彼の値打ちが分かっているし、良さも語れる。知らない方が見て、もっと聴きたいなと思ってCDを手に取ってくれたら、この映画は成功だと思っている」と監督。いい曲ばかりなので「ここは目を閉じて聴いてください」というコーナーもつくりたかったと笑う。

 撮影期間は2005年から2012年まで、約7年。途中、田端さんの活動休止や入院もあり、映画の結末が見えず、模索した時期もあったという。「田端さんのインタビューは早い時期に撮り終えていた。ただ、高齢もあり2008年の名古屋のステージを最後に、活動を休止した。退院後、もう一回インタビューして映画の中で健在ぶりを示してもらって作品を締めくくりたかったが、元気なうちに完成を見てほしいという思いもあった。一昨年から昨年にかけて多くの方のインタビューを次々に撮り、完成を目指した」と話す。病室で完成した映画を見た田端さんは、娘さんに「かっこいいだろう、お父さんは」と話しかけたそうだ。

 最後に監督は「東京の上映では80代の人も映画館に来てくれた。大阪では映像に合わせ、一緒に歌っている人も。名古屋は田端さんが13歳から19歳まで、青春を過ごした街。薬店、菓子店、鉄工所などで働きながら、独学で腕を磨いてコンテストで歌手になるきっかけをつかんだ。若い方は知らない人も多いだろうが、日本のポップミュージックの元祖と呼べる人。見てもらって音楽的に刺激を受けてもらいたい。そして、こんなに面白いおじさんがいたのかと単純に楽しんでほしい」と話し、来場を呼び掛けた。

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