名古屋の豆菓子店「豆福」、時代に合った商品開発続け70年

「豆福」店舗

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 名古屋市西区に工場と店舗を構える豆菓子店「豆福」(名古屋市西区新道2、TEL 052-571-4057)が今年10月で創業70周年を迎える。

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 同店は1939(昭和14)年創業。最初は名古屋市東区で開業し、戦後、現店舗に移転した。「豆菓子といっても幅は広い」と話すのは、二代目社長の福谷正男さん。豆の種類を挙げると、大豆だけでも白大豆、黒豆、青大豆、紅大豆、そのほか落花生、そら豆、エンドウ豆、カシューナッツ、ピスタチオ、カボチャの種など幅広い。そこに、「揚げる」「煎(い)る」のほか、味付けした餅米粉の衣を付けるなど、製法も多岐にわたる。「おいしい豆とおいしい味付け。まさに味のかけ算」と福谷さん。「豆菓子というとバターピーナッツや柿ピーだと思われがち。スーパーやコンビニの売り場も豆菓子のスペースも小さい。豆菓子は手間ひまのかかるお菓子で、たくさんの種類があることを伝えたい」とも。

 同店の看板商品は、味付けした大豆3粒を並べ、ノリを巻いた「山海豆(さんかいまめ)」。北海道産の「袖振大豆」と有明のノリを使用。一つずつ手巻きしているという。「山海豆を作った先代は、よく働き、かんこうする(名古屋の方言で「工夫する」「考える」)人だった。当時、高級品だったノリを使ったことや、目新しい形など、ほかにはない豆菓子を作った。その珍しさがうけ、昔は珍しいものをもって接待する、東京の飲み屋さんで大好評になった」(同)と振り返る。

 同店では現在、70周年を記念して山海豆を特別価格で数量限定販売しているほか、パンフレットに付いている引換券の持参客に豆菓子のセットをプレゼントしている(7月分は31日まで。今後も予定あり)。また、「私と豆福」というテーマでエッセーを募集。「ご縁のあるお客さんの思い出話や、ちょっとしたいい話しなどが聞ければ、わたしも社員もお客さまに愛されていることがわかると思う」と企画した。今月19日には、中国の伝統楽器・揚琴と朗読のコラボレーション「音魂・言魂」を同店向かいの愛知県菓業会館で開催する。

 一方で、「時代に合った新しい商品開発や販売方法などを実施している」と福谷さん。「カラフルでかわいい豆菓子をと、製造と営業が頑張って新しく作った」という「ベリーベリーカシュー」(470円)、「オレンジカシュー」(420円)、「アップルティーカシュー」(420円)などを夏の新商品として販売。そのほか、「若い人に人気」だという「ばかうまカレー」(315円)、「ブラックペパービンズ」(315円)、半生タイプの豆菓子もそろえる。

 同店がある西区新道周辺は、昭和20~30年代に菓子製造店や菓子問屋が多く立ち並ぶ街だった。「昭和20~40年初めのころはモノがなく、作れば売れる時代。お菓子屋は特に資本がかからないので多くの店ができた。通学途中には、飴屋さんからニッキやハッカの香り、カステラ屋さんからはタマゴの香りなど、街中でお菓子の香りがした」と当時を振り返る。昔の街の良さを伝えるためにも「専門店が踏ん張っていかなければ」と思いを新たにする。

 同店では20年も続ける豆の料理教室や、食についての講演会、仕入れた豆で作る豆腐の販売など、「日本食の良さ、大切さを豆屋という形で訴えていきたい」と、さまざまな活動を行う。そのほか福谷さんは、毎週日曜日にメールマガジン「サンデー豆福おやじ」を発行し、豆に関することや自身が見たり聞いたりしたことを利用客に発信している。

 営業時間は9時~18時(7月1日~20日は19時まで)。

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