円頓寺かいわいの開発を目標に空き店舗対策を行うチーム「ナゴノダナバンク」が現在、活動している。
ナゴノダナバンクは、母体の円頓寺商店街・四間道のまちづくりに取り組む有志「那古野下町衆」から店舗開発チームとして独立したチーム。メンバーは7人で、商店街の理事長、店主、建築家、コンサル、不動産など携わる職種もさまざま。
「この商店街をどうしようという考えもあるが、名古屋駅も近いし、名古屋城やノリタケの森などの観光資源も近くにある。面としてこの界隈の将来を考えていきたい。また、店舗の開発だけではなく歴史的な建物の保存も含め、まちづくりを目標とした活動」と話すのは、代表で建築家の市原正人さん。
ナゴノダナバンクの正式名称は「那古野(なごの)地区店舗開発協議会」。地名の那古野と、店子(たなこ)に「貸したい人・借りたい人両方の求めに応じることが銀行的な役割かなと思う」(市原さん)ことから「バンク」と名付けた。
主に円頓寺商店街・円頓寺本町商店街・西円頓寺商店街の商店街を中心に、その回りや四間道などの空き店舗や空き家を見つけ、所有者に接触する。所有者の気持ちや意志、物件内の規模などを調べ物件の「ストック」を作る。一方で、借り手の店子からも要望を聞き、家主と店子をつなげる役割を担う。
今の円頓寺かいわいでは、営んでいた店舗を閉め、上の住居スペースだけを残すケースが多いほか、テナント募集をかけていない空き店舗も多い。そんな円頓寺について、市原さんは「人通りは少なく閑散としているように見えるが、生活している人から見ると静かで住みやすいのかもしれない。また、古くから特徴のある店が多く、顧客が経営を支えている。」と話す。「何でもかんでも人が多ければ良いというわけでもないからね」とも。自身も空き物件をリノベーションした店を持っている市原さん。「この地域で自分も出店しているからこそ、顔見知りも増え、地域の人の協力も得られるようになってきたのでは」。
新店舗を増やしていく上で、大切なことは「このエリアの人たちの生活の邪魔をしないこと」だという。「家主、店子、地域の人、この3者が喜ぶ結果につなげなければ」と市原さん。一般的には家主と店子の直接契約であるが「ナゴノダナバンク」が家主から借りて店子に貸すサブリース方式をとる場合もある。「直接契約するのは不安があるなど双方の考えを踏まえた方法をとってもらえれば」。
最近は、円頓寺かいわいで出店したいという声は増えてきているという。現在もナゴノダナバンクが仲介したギャラリーショップ「ギャルリーペン」、スペイン食堂「バル・ドゥフィ」に続く3物件目の女子大生2人が経営するカフェ「Alku Cafe」をデザイン集団DEROが内装工事を進めている。店主の希望は商店街のアーケード内だったが、周りにコーヒーを出す店が多い通り。「利用する客層が異なるのでバッティングはしないと思うが…双方のことを考えると別の場所が良い」と判断し、カフェはアーケードから離れた雰囲気のいい町家を勧めることにした。オープンは11月14日を予定する。
ナゴノダナバンクへの問い合せはメールで市原建築設計事務所まで。