名古屋工業大学大学院伊藤孝紀研究室が一般向けに企画した産学官連携の「オープンゼミ」が9月10日、愛知県産業労働センターウインクあいち(名古屋市中村区名駅4)で行われた。
大学のゼミを誰でも参加できるようオープンにして、産学官が連携した調査研究や実践的活動を発表する同ゼミ。「ゼミ(ゼミナール)」の語源はラテン語で「苗床」を意味する。「意見や提案ができる交流の場になり、環境や社会、街づくりを育む、まさに『苗床』になればと願っている」と伊藤孝紀准教授。
テーマは「環境」。COP10開催が近づく名古屋。「今回は、環境とデザインの取り組みを紹介できればと思った。デザインの力で環境を良くしていきたい」。
当日は、学生のほか企業、行政などの9人がプレゼンテーションを行った。産業廃棄物となる建材や製品材を活用してプロダクト商品を生産・販売する「モデコ」(中区大須3)の水野浩行社長は、現在取り組んでいる同研究室とのプロジェクトを発表。学生自身が現在どういった素材が産業廃棄物になっているのかという調査を行い、その上で商品デザインを提案している。商品化され販売に至るまでのプロセスも店舗で公開。来店客などの意見をデザインに反映するという産学連携のシステムを試みている。
今年で6回目を迎える「ナゴヤデザインウィーク」からは、今年から立ち上がった学生実行委員会の杉山さんが参加。昨年から大学の研究室の参加も増え、名古屋市、中部経済産業局も共催となり市民主導の産学官連携活動へと発展しているという。中部圏の大学生や専門学校生が自主的にコンテンツを企画するほか、会場のデザインを手がけていることも。「次世代の育成に向けた幅広い年代が連携するになってきた」と伊藤孝紀准教授。
「大学のゼミという敷居の高さをなくし、自由に意見や提案が発言できる場になった。今回は中小企業の経営者の参加が多かったので、もう少し若者が参加できれば良かった。世代によって考え方や価値観、経験値が異なるので、世代間をつなぐのも『オープンゼミ』の役割」とも。