岡谷鋼機(名古屋市中川区舟戸町)第3倉庫で10月30日・31日、中川運河を舞台にしたプロジェクト「中川運河キャナルアート Project No. Zero」が開催される。
両日、会場の倉庫を舞台にアーティスト長谷川章さんによる映像インスタレーション「デジタル掛け軸」を開催。運河越しに倉庫に色鮮やかな映像を投影し、幻想的な空間を作り上げる(18時~21時、参加無料)。
倉庫内では、能楽者の青木涼子さん、フルート奏者の大久保彩子さん、作曲家の今井智景さんによるライブパフォーマンス「能と現代音楽による空間芸術」を展開(31日18時~19時、参加費2,000円)。中川運河に架かる小栗橋近くの鈴木バイオリン製造の三男が考案した「スズキ・メソード」でバイオリンを学ぶ子供たちのバイオリン・コンサートも開催(30日14時~14時45分、参加無料)。そのほか、シンポジウムやペチャクチャナイト、段ボールで作られた茶室での茶会なども予定。
中川運河と劇的な出会いを果たし、「この魅力を生かしたい」という思いでプロジェクトを始めたのは実行委員長の服部充代さん。11年暮らしていたニューヨークから生まれ育った名古屋に戻った2002年、仕事で早朝に車を走らせていたときに偶然運河に架かる橋を通ったことがきっかけだった。そこから中川運河について調べ始め、運河の再生に向け地道にチャンスを見つけてはアクションを起こし続け、今年5月に実行委員会を立ち上げた。「最初は委員会の中でも、実現すると思っていたのは数人もしくはわたしだけだったかも(笑)」と振り返る。
企業からの応援や寄付金が徐々に集まり始めるとスタッフもがぜんやる気になり、名古屋都市センターまちづくり活動の公開審査でのプレゼン、8月に名古屋テレビ塔で行われたペチャクチャナイトなど、活動を重ねるごとに結束が固まっていったという。
ツイッターも活用したPRを続けていると、「うちのすぐ近くだ」「ぼくも中川運河が好きです」など多くの反応があった。「何か手伝えることはないか」という問い合わせも多く、このことをきっかけに、ホームページ、フライヤー、看板などの制作、演出など人が動くソフト面はほぼボランティアで協力を受けた。「本当に皆さんのパワーを感じてここまでくることができた」。
長年温めてきた企画を1週間後に控え、「とても楽しみ」と服部さん。「まずは実際に会場に来てもらい水辺でのアートを体感してもらえたら、言葉や写真では伝わらない魅力が伝わる。今までと違うと感じてもらえるはず」と自信をみせる。