名駅の映画館「シネマスコーレ」(名古屋市中村区椿町8、TEL 052-452-6036)で2月8日から、アニメーション映画「寫眞館」「陽なたのアオシグレ」の2作品が公開される。公開に先立ち「陽なた-」を監督した石田祐康さんが来名し会見を開いた。
同2作品は「スタジオコロリド」が製作した短編アニメーション。「第17回文化庁メディア芸術祭」のアニメーション部門で2作同時に審査委員会推薦作品に選出された。「寫眞館」は海外でも多くのファンを持つSF映画「AKIRA」の作画監督を務めた、なかむらたかしさんが監督、脚本。丘の上の写真館と訪れる家族の交流を通して、明治から昭和までの時代の変遷をノスタルジックに描く。「陽なた-」は同級生シグレに恋する内気な小学生ヒナタの思いを、ユーモラス、ファンタジックに描いたアニメーション。
石田監督は愛知県美浜町出身。大学在学中に自主制作作品「フミコの告白」が同芸術祭で優秀賞を受賞し、ユーチューブで270万回再生されるなど注目された。卒業後は「グスコーブドリの伝記」の製作などに参加して経験を積み、同作で劇場映画監督デビューを果たした。「中学、高校時代は今敏監督、押井守監督や大友克洋監督などが好きだった。当時、フラッシュアニメなどで自主制作作品を作る人が増えてきた時期で、おのおのが自分の色を出していた。自分も刺激を受けてアニメーションを作り始めた」と振り返る。
在学中から作品が注目されたが、監督デビューまでは悩んだ時期もあったという。「学生時代にインターネットという便利な道具で、世界中の人に作品を見てもらい反響を聞くという体験を人一倍味わってしまった。それで、分業ではなく、企画から一括して全ての製作部分に携わりたいという思いが強くなった。卒業後はアニメ制作会社には就職せずに大学にとどまり、どのような形でアニメを作っていくべきか模索していた」。教授から、アニメ映画の製作を手伝わないかと声を掛けられ上京。その後、製作スタイルや目指すアニメーションが自分に合っているスタジオコロリドと出合ったという。
劇場デビュー作はファンタジックで疾走感のある物語となった。「今回の作品は女の子と白鳥が一緒にいる一枚の絵がスタート。そこから発展させていった物語。経験不足で苦労続きだったが、何とか作りたいものができた。人に喜んでもらえるアニメーションを作りたいので、心が動いてもらえたらうれしい」と手応えを感じている。
併映はベテランの名手、なかむら監督の作品。「憧れであり、技術を学びたい人。なかむら監督はキャラクターの芝居のつけ方など、明確な理論と技術に裏打ちされている。僕は土台がおぼろげで危うい。今はパソコンでいろいろなことができてしまうので頼りすぎる部分もある。でも、エンターテインメントを楽しんでもらおうという気概だけは負けないよう頑張りました」とほほ笑む。
最後に石田監督は「ぜひ映画館に足を運んで2つの両作品を楽しんでいただけたら」と来場を呼び掛けた。