名駅の映画館「ミッドランドスクエア2」(名古屋市中村区名駅4)で7月16日、公開中の映画「フローレンスは眠る」の舞台あいさつが行われ、主演の藤本涼さんらキャスト、スタッフ5人が登壇した。
小林兄弟監督(克人さん、健二さん)の「369のメトシエラ」以来、7年ぶりの新作となる同映画。同族経営の中堅化学工業会社で起こった誘拐事件、幻のブルーダイヤを巡って繰り広げられる社会派クライムサスペンス。主演の藤本さんは500人のオーディションから選ばれた。出演はほかに桜井ユキさん、池内万作さんら。
上映終了後に藤本さん、桜井さん、池内さんと監督2人が登壇すると会場から大きな拍手が起こった。両監督は「1週間前から名古屋に来て、チラシを配ったりした。いろいろな人と話ができて、優しい人柄を感じた。知り合ったばかりなのに、酒を差し入れてくれた人もいた」と名古屋の印象を話す。
日本では珍しい兄弟監督の2人。「2人とも黒澤明監督が大好きで、今回は『天国と地獄』『悪い奴ほどよく眠る』のような映画を作りたいという気持ちがあった。クライムヒーローの主人公に共感を得てもらえるかどうか、すごく悩みながら作った」と克人監督。健二監督は「シナリオは何度も書き直して、着想から出来上がるまで3年くらい掛かった。僕らの育ってきた高度成長期の昭和時代のにおいを持つ映画を残すことを強く意識した」と話す。
藤本さんは「監督からは役作りへの注文はほとんど無く、いつも君はどう思うかと聞いてくれた。俳優の皆さんは共演するだけで光栄という方々。シーンが終わる度に、頑張ったなと声を掛けていただき、うれしかった」と振り返る。ヒロイン・恵を演じた桜井さんは「感情をあまり表に出さない役。藤本さんと2人のシーンが多かったので、撮影に入る1カ月くらい前から役柄について何度も話しあった。彼は突っ込みどころ満載な面白い人。主役のクールなイメージが崩れるので、上映後の舞台あいさつで良かった」と笑顔。池内さんは「年上の東幹久さんの兄役でオファーをいただいた時は驚いた」と話し、撮影現場でのとっておきのエピソードを名古屋の観客に初披露した。
ミッドランドスクエアシネマ2は前日にグランドオープンしたばかり。藤本さんは最前列の真新しいシートに座ってリクライニングを体感。座り心地の良さに笑顔を見せた。健二監督は「いろいろな劇場を回ったが、ここは防音率がすごくいいので音響が素晴らしい。名古屋にとって自慢になる映画館だと思う。オープンに舞台あいさつができて光栄」と絶賛する。
最後に藤本さんは「30分では話し足りない。両監督が思いと愛情を持って作り上げた作品。サスペンスだけではなく、世代や性別を問わず、いろいろな思いが交錯する映画になっている。ぜひ多くの人たちに見ていただけたら」と呼び掛けた。
舞台あいさつ終了後、5人はロビーでサイン会を開催。名古屋の映画ファンとの交流を楽しんだ。