国際連合地域開発センター(以下UNCRD)は1月30日、名古屋国際センター内「アネックスホール」(名古屋市中村区那古野1)で生物多様性を生かした途上国の地域開発を紹介するイベント「生物多様性と地域開発」を開催する。
昨年10月に開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)では、今後世界各国が一層協力して生物多様性を保全していく必要性が唱えられ、2011年から2020年を「国連生物多様性の10年」とすることが提案された。一方、途上国では、貧困、健康、教育、ジェンダー、格差など、人々の社会・経済面での発展も急務になっており、国連ミレニアム開発目標の達成期限である2015年に向けて、より活発な国際協力が求められている。
UNCRDでは、途上国における生物多様性保全と地域開発の両立を促進させることを目的に同イベントを開催。途上国の生活は現在、森林から木材や食料を調達すほか、農業や牧畜の経営、自然資源や文化を生かし作った「商品」で現金収入にするなど、自然環境や資源によって大きく支えられている。また、豊かな自然を生かしてエコツーリズムなどを整備し、生物多様性を保全することによって地域開発を目指そうとしている。
しかしながら、技術や販路の不足により、実際には現金収入に結びつけられないケースが数多くあり、人々が地域の自然や文化を守り、それらを活かしながらものづくりや産業を営み、生計向上や地域活性化につなげていくことが課題となっている。
国際環境NGOコンサベーション・インターナショナル・山下加夏さんによる「途上国の生物多様性と地域の生計向上に配慮するコーヒー生産~コンサベーション・コーヒー」、京都大学大学院理学研究科教授・山極寿一さんによる「ゴリラ観光の光と影―生物多様性保全と地域振興をめざして」などの講演のほか、フェアトレード・ファッションショーやフェアトレードショップの出店も予定する。
イベントの最後には、大ナゴヤ大学が企画する「途上国における生物多様性×持続可能な開発のための取り組み」をテーマに参加型ディスカッションを開催。ファシリテーターに中京大学国際教養学部准教授・金敬黙(キムギョンムク)さんを迎える。フェアトレードやエコツーリズムに限らず、日本国内の事例などを挙げ、さまざまな角度からの議論を発展させるという。
開催時間は10時30分~17時00分(途中休憩あり)。参加無料。