切っても切っても同じ図柄が出て来るオリジナル組みあめの製造・販売を手掛ける「まいあめ工房」が8月6日、東京都庭園美術館(東京都港区)で「組みあめ」の実演を行った。運営は製菓問屋ナカムラ(名古屋市西区南堀越2)。
現在、同館で開催中の国立エルミタージュ美術館所蔵「皇帝の愛したガラス」展。同展に出品されている作品の中に、色付きのガラス棒を組み合わせて繊細な模様を作り上げるベネチアガラスの特徴的な技法「ミッレフィオーリ」を使った作品が含まれていることから、「そのテクニックの面白さを知るために、同様の技法で作り上げる組みあめの実演を美術館で行いたいと話をいただいたことがきっかけ」と社長の中村貴男さん。
これまでにも地元の祭りなどで実演実績のあった同工房。今まで県外への出張はなかったが同じ技法で作られていることを知っていた職人の「東京でやってみたい」という声もあり、実演することに決めたという。
天候に恵まれた当日、会場は屋外庭園。学芸員のガラス工芸の技術解説を交えながら、この道40年の熟練職人2人を中心に組みあめ作りを披露。実演は午前と午後の2回行い、参加者は子どもからお年寄りまで約150人が集まった。あめを炊くところから始め、固めながら色付けを行い、パーツを作り組み上げ、引き伸ばして裁断する工程はまさに職人技。多くの参加者たちの興味を引いた。
「工場とは違い設備が整わない中での実演。特に蒸し暑かったので、あめが冷えず難しい作業になった」としながらも、できあがったあめをそれぞれが手にとり宙に掲げ、太陽に透かしてガラスのように見えるあめを楽しむ姿を見て、「あめを使ってうまく技法を伝えられたのでは」と振り返る。
美術館とのコラボ企画という初の試みを終え「めったに生で見ることのできない組みあめ作りをお見せでき、参加者の方や学芸員の方にも喜んでもらえて良かった」と中村さん。「実演することで、こういう技術があるということを多くの人に知ってもらい、この道に進みたいという人が1人でも2人でも増えて組みあめ作りを後世に伝えていければ」と今後の実演にも期待を寄せる。