109シネマズ名古屋(名古屋市中村区平池町)ほかで8月25日から、映画「闇金ウシジマくん」が公開される。公開に先立ち出演の山田孝之さんと林遣都さんが来名し、会見を開いた。
同作品は、漫画家・真鍋昌平さんの同名コミックが原作。コミックは累計600万部を突破し、2011年小学館漫画賞を受賞。ストーリーは、同業者からも恐れられる伝説の闇金業者「丑嶋馨」を主人公に、金や欲望に踊らされる人間たちや社会の闇をシリアスかつユーモラスに描く。2010年に山田さん主演でテレビドラマ化され人気となり、今回、劇場版が完成した。AKB48の大島優子さんが小遣い欲しさに危うい世界に足を踏み入れ泥沼に落ちていく少女「未來」を演じることでも注目されている。
テレビ版から引き続き主演を務める山田さん。「ウシジマは動物的だけど機械っぽい。せりふに感情を込めようとすると、ウシジマから外れてしまう。不自然だけど、演じるのが面白い。ドラマでは手探りで役に近づいていったが、映画では監督からあまり細かな指示はなかった」と役作りについて話した。
林さんは、携帯電話の中の3000件のアドレスを武器に成り上がることを夢見る青年「純」を演じる。「自分はあまり野心がないので、かけ離れた役と思っていた。目標を定めてひとときも無駄にすることなく戦っている純は尊敬できる部分もある。それが変な方向に行くのが残念。監督と会話を重ね、感情面など意見をもらいながら、毎日プラスしていった」と振り返る。
社会の暗部、暴力や絶望を容赦なく描く冷徹な物語。「ウシジマの世界はリアルで、世の中に実際、たくさんある。ウシジマをダークヒーローという人もいるが、ただの犯罪者。一見、優しく見える言葉も彼は合理的だから言っているだけ。主人公だから見る側が救いを求めてしまう。ウシジマの言葉には心に響く部分がたくさんあると思う。そこをプラスに感じてもらうのはいいが、犯罪者なので、実はまともな人とは捉えないでほしい」(山田さん)と、複雑でし烈な世界を解きほぐす。
映画の見どころを聞かれた林さんは「原作はどのエピソードも救われないので、人間が落ちていくのを見て暗い気持ちになるが、映画では希望も見せてくれる。どれだけ抜け出すことが難しいのか感じさせ、さらにいろいろなことを感じさせる作品になっている」と話した。
山田さんは「仕事でも友人でも家族でも、人間関係には距離感がとても大切。人間関係をなくしてしまうきっかけとしてお金の力は大きい。お金との距離感をしっかり持っていないと人間関係も壊してしまう。そのバランスを感じてほしい」と作品に込められたテーマを話し、映画の成功を祈った。