名駅の柳橋市場内(名古屋市中村区名駅4)の一角でビール造りをするプロジェクトが進んでいる。
手掛けるのはワイマーケット(名駅4)で、「クラフトビールを造りたかった」という同社社長の山本康弘さん。クラフトビールは小規模な醸造所でビール職人が造るビールのこと。現在、市場内のはずれのビルの1階にブルワリー(ビール醸造所)を作り、開業に向け準備を進めている。今春までには、2階にビアレストランをオープン予定。
市場内の酒販店「岡田屋」も営んでいる山本さん。「酒屋で日本のいろいろなクラフトビールを扱いネットでも販売を行うが、名古屋の街でまだまだ広まらない」という現状。クラフトビールに関わりながら「いつか自分でも造りたい」という気持ちが芽生え、思いを持ち続けていた。
「日本でアルコール需要の半分を占めているのはビール。これは世界の先進国でもほぼ同じで、ビールは世界中で愛される飲料といっても過言ではない」と山本さん。大手4社が代表するような日本でメジャーなビールは、同じ「ピルスナー」という種類。「日本酒の酒蔵や焼酎の醸造所はたくさんあることが知られているのに、なぜビールだけ少ないのか。本来、ビールにもたくさんの種類、味があり楽しみを見いだせる。東京などではイベントもあり、クラフトビールのファンも多く、趣味として成り立っている。広がる可能性を視野に入れている」という思いを持ち、環境も整ったことからクラフトビール造りに着手した。
名駅で造ることへの思いは、「名古屋駅からすぐ近くにあることがメリット。将来、名古屋のビアパプなどの飲食店だけで飲めるビールにしたい。ここ(名古屋)でしか飲めないビールとして打ち出し観光や街の潤いにもつながれば。それには名古屋の玄関口『名駅』であることが重要だった」。
敷地面積50坪のうち約45坪のブルワリーにして、仕込みのタンクと発酵させて仕上げるタンクを設置。「日本で醸造所として認められるには年間で6万リットル製造する必要があり、規模的にギリギリ」という。「規模的に製造量が限られるのでもうけはそれほど見込めないが(笑)…こんなこと普通は実行しないと思うので逆にやってやろうと思った」と意欲を見せる。
1月中にはビール職人が仕込みを始める。材料の配合違いで数種類を造るといい、仕上がりは、早いもので1カ月ちょっと、長くて3カ月。タイプによるが熟成させるものもあるという。「地元に愛されて街に溶け込んでいける存在になれたら」と期待を込める。