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名古屋拠点に移動劇場プロジェクト パリから戻った中川区出身舞踏家中心に

「月灯りの移動劇場」綜合プロデューサーの浅井信好さん

「月灯りの移動劇場」綜合プロデューサーの浅井信好さん

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 名古屋市中川区出身で昨年までパリを拠点にしてきた演出家・振り付け家・舞踏家の浅井信好さん(32)が、地元・名古屋を拠点にアートプロジェクト「月灯り(あかり)の移動劇場」の活動を進めている。

「月灯りの移動劇場」の完成予定模型

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 ストリートダンスに始まり、高校卒業後上京しバックダンサーや振り付け家として活動。ニューヨークでコンテンポラリーダンスの活動も広げ、2006年からは舞踏カンパニー山海塾に所属。脱退後はイスラエルの舞踏団に派遣され、その後パリを拠点にダンスカンパニーを創設し主宰する。これまでに地元の中川運河沿いの倉庫を会場に行うアートイベント「中川運河キャナルアート」にも出演。2015年5月に名古屋にも拠点を置き始めるが、半分はフランスに在住。「プロジェクトに数年腰を据えて取り組める年齢で、リニア開通、オリンピック開催の前に、時期としても今しかない」(浅井さん)とし、動き始めた。

 「地元を活性化したい」という思いで企画した同プロジェクト。木製の玩具やオブジェを詰め込んだ専用の巨大なおもちゃ箱「月灯りのおもちゃ箱」と、専用の移動式箱庭劇場「月灯りの移動劇場」を製作予定。玩具やおもちゃ箱のパーツなどを舞台美術として使い、光を当て巨大化させた影絵の世界でプロのダンサーが出演する作品を上映。移動劇場は、直径約16メートルの円形で約100人収容。名古屋の建築家・横関浩さんと名城大学・生田京子准教授の研究室が設計を担う。作品はミヒャエル・エンデ著の「はてしない物語」を題材したもの。出演は、「パントマイムの神様」マルセン・マルソーの弟子でパリを活動拠点にするマイム俳優・奥野衆英さん、東京・名古屋を活動拠点にするコンテンポラリーダンサー三輪亜希子さんのほか、名古屋と東京のオーディションから選ばれた4人のダンサー。「誰もが楽しめる」舞台芸術作品の公演を目指す。

 拠点は運河沿いに常設で構え、「名古屋では定期的な開催ができれば」と浅井さん。拠点を軸に全国を巡回する考えだという。「空き地や校庭、福祉施設、稲刈りが終わった田んぼなど…。文化に触れる機会の少ないへき地で行いたい。例えば地域にある大きな木を囲んで移動劇場を設置するなど、その土地や環境ならではの場作りすることもできる」とも。移動劇場の回りには地域団体などと連携し、マルシェなどを同時開催し長時間楽しめる場作りも想定している。

 「名古屋に根付き、芸ごとで名古屋で活動できる場を作り、地元のアーティストの育成にもつなげたい」と意気込みも語る。アウトリーチも大切にし、主に子ども向けにダンスや木のおもちゃ作りのワークショップも開催している。「子どもが作ったおもちゃが実際に舞台で使われ、プロのダンサーが演劇をする。体験と鑑賞をセットにすることが大切。未来のために子どもたちへの活動がすべてにつながる」とも。

 現在、クラウドファウンディング「ブースター」を利用し、「巨大おもちゃ箱」の「箱」の費用を募っている。中に入れるおもちゃは木工作家・三輪義信さんが無償で手掛けるという。「共感を得ることが大切なので、クラウドファウンディングを使った。ファンを集めるのが実は大変。社会のためになるかどうか反応を図ることもできると思う」。目標金額は90万円で期間は2月10日まで。リターン内容などはホームページから確認できる。

 今年4月22日・23日・24日に「おもちゃ箱」を使った公演を東京の六行会ホールからスタートし、全国をプロモーションとして回る。2017年2月に名古屋から移動式劇場でキャラバンツアーを計画している。

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