JR東海グループ3社が4月1日、一部店舗で食品ロス削減アプリを導入し、商品のロス削減の取り組みを始めた。
導入するのは、みなとく(東京都港区)のアプリ「No Food Loss」。各店舗が賞味期限や消費期限が迫った商品の割引情報を、同アプリを通じて情報発信する。商品内容や割引率、販売時間、残数などは各店舗が直接入力する。利用者は店頭でアプリ上のQRコードのクーポンを提示すると割引金額で購入できる。店頭に設置するQRコード付きPOPで利用を促す。
購入金額の一部が「TABLE FOR TWO」を通じ、開発途上国の子どもたちの給食費として寄付される仕組み。
フードロス問題に興味を持っていたJR東海の事業推進本部の吉澤克哉さんが同アプリを知ったことがきっかけ。昨年11月18日からジェイアール東海フードサービスが運営する名古屋駅構内の「デニッシュバー JR名古屋駅店」で導入し実証実験を行った。実証実験は3月31日まで。
実証実験を振り返り吉澤さんは「デニッシュバーでは廃棄対象の約1割の削減を実現できた。お客さまからは『いい取り組みだね』という声も頂いた」「最初は認知度も低かったが徐々に増えた。学生アルバイトの方も積極的にアピールしてくれたと聞いた」と笑顔を見せる。ある程度の結果が出たことと、店舗側のオペレーションも問題がなかったことから、正式導入を決めた。
導入するのは「デニッシュバー」に加え、隣接するベーカリーカフェ「マーメイドカフェ JR名古屋駅店」(以上、割引率=30%)、ジェイアール東海ホテルズが運営する「名古屋マリオットアソシアホテル」のロビーラウンジ「シーナリー」(同=20~30%)、ジェイアール東海パッセンジャーズが運営する東京駅八重洲南口コンコース内の「おむすび処 米’n 八重洲南口店」(同=50%)。当日の在庫により割引情報が配信しない場合もある。割引率も異なる場合がある。
「シーナリー」マネジャーの佐藤保哲さんは「イチゴのショートケーキなど人気商品は売り切れることが多いが、ティータイムには選べるようにある程度、種類の用意が必要。一方、廃棄をいかに減らすかという課題もある。今回のフードロス削減に賛同し導入した」と話す。同店では約15種類あるケーキや焼き菓子、パンのテークアウトが対象。「作り手にとってもいいこと。顧客層を広げる目的もあり、これを機に当店の味を知っていただければ」とも。
吉澤さんは「ロスをなくしたいという思いが一番。お客さまにとっては普段よりお求め安い価格で購入できるメリットがある。安売りに抵抗がある方でも利用することが社会貢献になる」と話す。「まずはグループ会社で展開し、名古屋からロス削減を一緒に広めたい。いずれはグループ外の店舗にも広がれば」と期待を寄せる。