復刻を予定する、「尾州」のウール生地で作るオリジナルシャツの試着会が6月20日~22日、那古野エリアのカフェ「ROWS COFFEE」(名古屋市西区那古野2)で開かれる。
同企画は、東海エリアの魅力を「面白がる」ことをテーマに体験プログラムを企画・運営する「大ナゴヤツアーズ」(中区大須3)が始めた新しいプロジェクト「大ナゴヤプロダクツ」の第1弾。ツアー企画を通じて出会ったさまざまなものづくりの産地や作り手と一緒に、使い手目線で欲しいと思うものを形にしていくという。
代表の加藤幹泰さんは「ツアーに参加し見学などでものづくりの現場や生産者の思いなどを知ることはできるが、その後どうするかというところで生活に取り入れる提案がなかった。例えば尾州の工場見学ツアーで知識を得た後に、尾州産生地作ったスーツを買おうとしても高額で手に入れづらい。洋服店で買うにしても生地の産地と書いてあるわけでもない。生活に取り入れやすく、欲しいと思うものを形にしてくれる人に作り手で出会っているので、一緒にものづくりができればと考えた。ツアーには参加しないが、プロダクトを通じて関わりたいという人にも応えられる」と話す。
第1弾のテーマは世界三大毛織物の産地といわれる「尾州」。過去にツアーを行った100年以上の歴史を持つ「葛利毛織工業」(一宮市)と繊維企業若手が集まる「尾州のカレント」とでタッグを組む。
オリジナルシャツは、シャツ一枚でも食事会や仕事のシーンなどに来て出掛けられる「ONの日のシャツ」として企画。堅苦しくも緩くもない「きちんと感」をまとったデザインを型紙から作った。デザインは性別を問わず、サイズは4種類を展開。外ポケットと内ポケットも付ける。
すでに12日・13日に行った試着会を振り返り加藤さんは「試着会では『ウールなのでもっとチクチクするのかと思ったがなめらかだった』『写真ではもっとツヤツヤしている印象だったが実際は落ち着いていた』など生地の風合い、色合いが伝わった」という。サンプルから選んだ生地は、糸を作っていた会社が新型コロナをきっかけに廃業したため、葛利毛織工業の職人周辺工場と協力し、今後、糸作りから復刻させるという。生地について加藤さんは「少し艶もあり大人っぽい。単色のようでよく見ると多色の糸が混ざる少し複雑な生地。シワにもなりにくく、汗をかいても気にならない高機能素材」という。色はネイビーとブラウンの2色がある。
クラウドファンディングを活用してプロジェクトのストーリーを紹介し、「リターン」として「ONの日のシャツ」のほか、同生地で作る「びしゅうのズボン」、復刻生地に立ち会える葛利毛織工業の工場見学も用意する。
開催時間は11時~17時。同様の試着会を16日~19日(13時~17時)に「尾州のカレント 新見本工場」(一宮市)、27日(10時~18時)に金山エリアの書店「TOUTEN BOOKSTORE」(熱田区)でも開く。
加藤さんは「瀬戸焼、常滑焼、美濃焼など器、日本茶の生産者と作るブレンドティー、南知多のフルーツ農園、大垣のハーブ園など、さまざまな可能性がある。産地や作り手の顔が見られるような読み物をアーカイブし、物の購入と一緒に紹介していきたい」と意気込む。