名古屋市内で映画「さくらん」公開に先駆け2月19日、出演者を招いて大規模なキャンペーンが行われた。
「さくらん」は、江戸「吉原」を舞台に8歳で遊郭に売られた少女、きよ葉が遊女たちと反発しながら、古いしきたりにとらわれずたくましく生き、やがて吉原一の「花魁(おいらん)」に成長していく物語。人気漫画家安野モヨコさんの原作漫画「さくらん」を、世界的なフォトグラファー蜷川実花さんの強い希望で映画化した。蜷川さんは同作が映画初監督となる。主演は土屋アンナさん、映画音楽は椎名林檎さんが担当。豪華なキャストや極彩色を用いた独特の色彩で描かれるセット、蜷川さんの写真を特殊プリントした花魁の衣装などが映画公開前より話題を集めており、今年2月ドイツで開かれたベルリン国際映画祭公式部門の特別招待作品として出展された。
名古屋観光ホテル(名古屋市中区錦1)で行われた会見には、監督の蜷川実花さんと主演の土屋アンナさん、遊郭「玉菊屋」の若頭、清次を演じた安藤政信さんが出席。蜷川監督は「安野モヨコさんの作品の中でも特に『さくらん』のファンで、江戸吉原を舞台にしながら現代女性の生き方に通じるストーリーに共感した。監督業は、感覚的に作品を作るフォトグラファーの作業と比べて、すべての動作を言語化していかなければいけない作業が大変だった」と話していた。
自身もロックアーティストとして活躍する土屋さんは「女らしさと儚さ、グロさなど正反対なものがバランスよく合わさっている椎名さんの音楽が、映画の世界にマッチしていて素晴らしいと思った」と、椎名林檎さんが手がけた映画音楽について触れた。
一方、清次役の安藤さんは「女性の目線で撮った映画に出演したことが少なかったので、新しい目線で自分の可能性を引き出すためにも出演を快諾した。10代女性から支持を得ている蜷川監督の作品や土屋さんと共演することで、僕も10代から支持される俳優になれたら嬉しい(笑)」とも。
当日は、キャンペーンの一環として演芸場「御園座」(中区栄1)前には大須の大道芸人らによる「花魁道中」も登場。同演芸場で一般向けに行われた試写会には約1000人の女性が参加し、舞台挨拶で蜷川監督、土屋さん、安藤さんが登場すると会場は興奮に包まれた。同作は、2月24日から関東地区でロードショー公開され、名古屋地区では3月3日からセンチュリーシネマ(中区栄3)、109シネマズ名古屋(中村区平池町4)などで順次公開予定。