アートプロジェクト「アートサイト名古屋城2024 あるくみるきくをあじわう」が11月28日から、名古屋城で開催される。
「アートサイト名古屋城2024 あるくみるきくをあじわう」メインビジュアル
2度目の開催となる今回は、国内外から年間200万人以上もの人々が訪れる観光スポットの名古屋城を舞台に、アーティストが「観光する行為」そのものをテーマに作品を制作、発表する。
キュレーターの服部浩之さんは、今回のテーマについて「名古屋城のような史跡においては、常に保存と活用の両立が重要な課題となっている。1回目は『想像の復元』というタイトルの下、どちらかというと保存という観点に着想を得て、展覧会を組み立てた。今回は、観光という活用的側面から名古屋城にアプローチしたいと考えた。名古屋城はとても広く、全体を巡るとよく歩く。いろんなものを見て、いろんな声や音を聞く。そこで、民俗学者の宮本常一による『あるくみるきく』を観光する行為の基本と考えた」と話す。
展示については「明治時代に各地を放浪して尾張名古屋で生涯を閉じた旅する表現者の蓑虫山人と、江戸時代に名古屋城下をひたすら巡り人々の暮らしを描いた高力猿猴庵を入り口にした。2人の遺した作品と現在のアーティストの展示で、『あるくみるきくをあじわう旅』に出ていただきたい」と話す。本展では、蓑虫山人の100年以上前の名古屋城が描かれた絵日記、高力猿猴庵の名古屋城下の風俗や祭りを描いた絵などを展示する。
参加アーティストは、狩野哲郎さん、菅原果歩さん、久保寛子さん、千種創一+ON READING。狩野さんは、名古屋城の環境を調べ、動植物など人間以外のものへ目を向けるインスタレーション作品群を制作する。菅原さんは、名古屋城に生息するカラスに着目した作品を滞在制作する。久保さんは、シャチホコと狩野派の障壁画をリサーチして彫刻を発表する。千種創一+ON READINGは、二之丸庭園の各所に鏡に印字した短歌を設置し、庭園そのものの歌集化を試みる。
服部さんは選出したアーティストについて「全てのアーティストが、何らかの形で名古屋城という場所に応答する作品を展開する。アーティストたちもある意味、名古屋城を観光、旅することで作品を生み出す」と話す。
期間中、関連イベントとして、アーティストの川村亘平斎さん、野村誠さん、山城大督さんらによる「ナイトミュージアム名古屋城」(12月6日~8日)を開く。作品展示のほか、本丸御殿の夜間特別公開、二之丸庭園の紅葉ライトアップ、トークイベント、ワークショップ、アーティストによるパフォーマンスも行う。フードやドリンクが楽しめる「リトルマーケット」も同時開催する。
服部さんは「作品鑑賞・体験を通じて、皆さんそれぞれの『あるくみるきく』を深く味わってもらえたらうれしい」と来場を呼びかける。
入場時間は9時~16時30分(ナイトミュージアム名古屋城の期間中は19時30分まで)。入場料は500円、中学生以下無料。12月15日まで。