名古屋市が都心の回遊性向上やにぎわい拡大を図る目的でまちづくりと一体となって導入準備を進めている路面公共交通システム「SRT(Smart Roadway Transit)」のトータルデザインと走行ルート・停車箇所が決まった。同市が11月5日に発表した。
約2年をかけた全6回の有識者懇談会を経てSRTのトータルデザインを決定。名古屋の都心部のまちづくりを先導し、まちへの愛着や誇りの醸成につなげていくという思いをのせたコンセプト「都心風景の未来を先導」を掲げた。シンボルマークや乗降・待合空間(バス停)のデザインイメージパースも発表。名古屋市住宅都市局の加藤尚子さんによると、理想とするバス停の設置に向け、歩道側の拡幅など関係者と調整中だとう。
車両は2両の車体を幌でつないだ連節バスで、デザインは「まちの風景に溶け込みやすいように」(加藤さん)「アーバンゴールド」と名付けた落ち着いたゴールドを採用。定員は130人程度。
走行ルートは名古屋駅エリアと栄エリアを東西に結ぶ広小路通が中心のルートで、「栄」が起終点となる。停車箇所は7カ所で「ミッドランドスクエア」前や柳橋、広小路本町など。市バスや名鉄バスのバス停としても利用する。加藤さんによると、広小路通は江戸時代からある歴史のある道で、現代では市が定める都市景観形成地区に指定され景観が整っている通りで、ケヤキ並木のあるきれいな緑空間が魅力だという。
SRTのバス停は街とつながる場所という考えで、これでまでに設置予定のバス停周辺に飲食販売ブースや待合空間を設けてにぎわいを作る社会実験も行ってきた。
「バスを走らせるのが目的ではなく、SRTは名古屋の都市部のまちづくりにおける一つの装置で、SRTを通じてよりウオーカブルな日常を過ごしてもらうことが目的の取り組み」と加藤さん。「乗車時に車窓からきれいな街並みや季節の移ろいを楽しんでもうほか、SRTが走行するという話題性も活用して、名古屋の魅力を伝えたい」とも。
2025年度後半の運行開始を予定する。