
1960年代から現在までの名古屋駅西と変遷を解説する「名古屋駅西タイムトリップ」(風媒社)が6月6日に発売される。
同書において、名古屋駅、則武本通、太閤通、清正公通に囲まれた名古屋市中村区椿町、則武二丁目、竹橋町を名古屋駅西と指す。編集・執筆したのは名古屋市立大学人文社会学部准教授で、2015(平成27)年から名古屋駅西をフィールドに調査研究する林浩一郎さん。2020年に、このエリアで事業を営んでいた平子純さんと杉山雄彦さんに出会い、2人が保管していた1960年代の写真約300点を資料として借りられることになったのを端緒に、林さんは「ホリエビル」(名古屋市中村区)代表の堀江浩彰さんと写真展を企画するなど、さまざまな活動に取り組んできた。
同書では、活動を通してまとめた林さんの考察をはじめ、杉山さんが父と共に記録し続けてきた約100点の写真と証言、在日女性や事業者など名古屋駅西にゆかりのあるさまざまな人たちのインタビュー、平子さんが1985(昭和60)年に発表した小説「河童(かっぱ)」、近年地域内で起こるムーブメントなどを収録。東海道新幹線の開通に沸く高度経済成長期から昭和末期、平成、リニア中央新幹線開発が迫る令和と、さまざまな時代の名古屋駅西をひもとき、未来について構想する。
林さんは「地元から革新を起こせるかが本著の一つのテーマ。杉山さんと平子さんのまなざしを借りて地域の歴史や記憶をまとめ、今まさに起きている変化と併せて紹介することで、地域住民の意思が次世代に継承される様子を表した」と振り返り、「名古屋駅西の入門書として手に取ってもらえたら」と笑顔を見せる。
仕様はA5判、150ページ。価格は1,980円。
6日には「ホリエビル」1階の「NAgoya BOOK CENTER(ナゴヤブックセンター)」で出版記念トークイベントを開催する。参加費は2,000円(同書付き)。定員は20人。参加は店頭やインスタグラムなどで受け付ける。