買う 学ぶ・知る

「東海遊廓史要3号」刊行 遊郭とビール会社の関係・稲永遊郭をテーマに

「東海遊廓史要3号」の表紙

「東海遊廓史要3号」の表紙

  • 9

  •  

 名古屋の遊郭に関する研究をまとめた「東海遊廓史要3号」(カストリ出版)が12月20日、発売された。

[広告]

 著者は、東海地方を中心に在野研究者として活動する「東海遊里史研究会」の野崎晃佑さんと畠野佳司さん。同書では、野崎さんが「稲永遊郭沿革史(戦前編)」を、畠野さんが「名古屋の遊郭とビール会社」をテーマに調査・考察した内容を収録する。

 稲永遊郭は、戦前に名古屋市港区にあった遊郭。野崎さんによると「名古屋には2つの遊郭があり、娼妓(しょうぎ)2000人を擁する中村遊郭はメジャーな存在だったが、稲永遊郭はマイナーな存在だった。立地にも大きな隔たりがあり、中村は名古屋駅西から1キロほどの場所にあったのに対し、稲永は名古屋の端の埋め立て地にぽつんと浮かぶ離れ小島のような場所にあった」という。

 今回のテーマについて、野崎さんは「小さな遊郭にも、歴史のダイナミズムやそこで暮らしていた人々の記憶がある。過去号でも他テーマの関連情報として稲永遊郭について触れたが、もっと丁寧に紹介したいと思った」と話す。調査に際して遊郭関係者の親族から情報や写真の提供を受けたといい、「資料の中の文字情報でしかなかった稲永遊郭のイメージが、生き生きと湧き上がった。雪遊びに興じる人々や、祭りで仮装した人々が笑顔で写る様子など、貴重な写真を数多く掲載しているので、読者も当時の光景を想像できるはず」とも。

 畠野さんは、名古屋市中村区にあった中村遊郭におけるビールメーカーのシェア争いに着目したという。「戦前の新聞から情報収集していた際、名古屋商工界の状況を解説したコラムの中で、遊郭とビールメーカーの関わりに触れた内容が目に留まった」と振り返る。

 「遊郭は地域の産業や経済、市民の暮らしと密接に結び付いていた。ビール会社をはじめ、飲食や娯楽などの商売で生計を立て、家族を養っていた人々もたくさんいた。それは現代の私たちと何ら変わらない一般市民といえる。遊郭の存在をこれまでと違った視点で切り取ってみようと思い、産業史と遊郭史の両面から掘り下げた」とも。

 畠野さんは「愛知県半田市で創業されたカブトビールは、名古屋で圧倒的なシェアを誇っていた。地元企業として市場を死守しようとする同社と、そのほか企業との攻防が中村遊郭にまで及んでいたことは大変興味深い」と話す。

 仕様はB5判、43ページ。価格は990円。東京・吉原の遊郭専門書店「カストリ書房」の店頭とネットショップで販売する。

名駅経済新聞VOTE

名古屋城と言えば?

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース