名古屋観光ホテル(名古屋市中区錦1)で4月18日、映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」公開に先駆け、監督、出演者らによる会見が行われた。
同作は、1945年太平洋戦争中の鹿児島県知覧飛行場から、特攻隊員として戦地へおもむく若者たちの姿を、彼らが母のように慕っていた「富屋食堂」の女将、鳥濱トメさんの視点から描いた物語。製作総指揮は、現東京都知事で作家の石原慎太郎さん。鳥濱トメさんと親交の深かった石原さんが、鳥濱さん自身から聞かされた話をもとに8年前に同作を企画し、脚本を書き上げた。主役の鳥濱トメ役は、石原さんの強い希望により岸恵子さんが演じている。他の出演者は、徳重聡さん、窪塚洋介さん、筒井道隆さん、戸田菜穂さん、桜井幸子さんほか。
当日、会見には監督の新城卓さん、特攻隊員役を演じた徳重聡さん、窪塚洋介さんが出席。新城監督は「アメリカ植民地時代の沖縄で育ったこともあり、監督業を志した時から『特攻隊』を描いた映画を撮りたくて企画を温めていた。石原さんの『鳥濱トメ』さんに対する思いと、私の『特攻隊』への思いがうまく合致して作品が完成した。実際に起こった戦争の史実を、次の世代に伝えていきたい」と、作品に対する思い入れを語った。脚色は少なくし史実に基づいたストーリーづくりにこだわったという同作は、隊員役を演じた出演者全員が頭髪を三部刈りにし、実際に陸上自衛隊に入隊して徹底した訓練を受け、撮影に挑んだという。
印象に残っているシーンについて、第17振武隊中西隊隊長を演じた徳重さんは「桜の木の下を歩くラストシーン。戦争で生き残った隊長の中西の、自責の念が最後に報われた良いシーンだと思う」と話し、窪塚さんは、初めて自身の出演作を見て涙が出たという。記者からの「戦争映画に出演したことで、自身の考え方が変わったような出来事はあったか」の問いに対し、徳重さんは「戦争で亡くなった人たちがいて、今の平和な日本があると再確認した」と話す一方、窪塚さんは「戦争のために自由に生きる選択肢すら与えられなかった若者を演じたことで、逆に現代で自分の好きなことを悔いのないようにやっていこうという思いが、より強くなった」と話していた。
同作は5月12日より、名古屋ピカデリーをはじめ全国でロードショー公開予定。