名駅西の映画館「シネマスコーレ」(名古屋市中村区椿町8、TEL 052-452-6036)は12月22日から、若松孝二監督の最新作「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」を全国に先駆け先行上映する。
同作は、1960年代から日本中で激化した学生運動や、1972年2月に長野県「あさま山荘」で起こった立てこもり事件「あさま山荘事件」などを、学生運動の中心的存在として活動した「連合赤軍」兵士側の視点を通して事件の全貌を描いた作品。出演は、ARATAさん、坂井真紀さんほか、ナレーションは原田芳雄さん。キャストは、すべて当時の兵士の実名役で登場している。同作は、今年8月に「湯布院国際映画祭」で初めて上映され、10月の「東京国際映画祭」では「日本映画・ある視点」部門で作品賞を受賞した。
若松監督は、1971年にパレスチナのゲリラ闘争を描いた「赤軍-PFLP世界戦争宣言」を発表し、日本赤軍に合流した友人に合うため頻繁にレバノンを訪れるなど、学生運動から発展した事件を兵士側から描いた作品の企画を30年以上温めてきた。若松監督は「報道では伝えられていない『なぜあの当時の若者たちは、あのような事件を起こしたのか』という兵士側の真実を、作品として残し伝えるべきだと思っていた。ものを作る人間としての思いや怒りをすべて込めた作品を、やっと完成させることができた」と話している。
すべてオーディションで選ばれた72人のキャストには、監督自ら撮影前から当時の事件や時代背景、兵士それぞれの心情を教育し、クライマックスの「あさま山荘」銃撃戦のシーンは、若松監督が所有する別荘を提供して撮影されたという。
若松監督がオーナーを務める「シネマスコーレ」では、11月16日に同作の一般有料試写を開催、12月からは若松監督の過去の作品や同作の特別メーキング映像なども上映し、全国先行上映に合わせ随時イベントを開催していく予定だという。
若松監督は「あの当時は、誰もが『嫌なものは嫌だ』と言える時代だった。今はみな勇気がなくなって最も住みにくい時代になっていると思う。この作品を通して、若い人たちが自分の考えを主張できる勇気を持つきっかけになってくれれば」と話している。
同作は、来春より全国でロードショー公開を予定している。