金型の溶接補修事業を展開する愛知溶業株式会社(本社:愛知県一宮市、代表取締役:市川修、以下 愛知溶業)は、2025年5月に株式会社明和製作所(本社:三重県三重郡菰野町、代表取締役:大矢知公則、以下 明和製作所)と、締結した協業に関するMOUを拡張し、新たに東海溶業株式会社(本社:愛知県豊田市、代表取締役:大竹直樹、以下 東海溶業)を加え、3社間でのMOUを締結し協力体制を構築しました。この協力体制は、前回のMOUをきっかけに、東海溶業の協業の意向を受けて実現したものです。

近年、従来は多くの部品と工程でつなぎ合わせていた車体パーツを一度の鋳造で一つの部品として製造する新しい技法「メガ・ギガキャスト技術」が自動車業界をはじめとするモビリティ産業で中国・北米を中心に急速に普及しており、新興国でもその導入が進んでいます。中国のギガキャスト関連市場規模は2021年の85億元(約1785億円)から大幅に広がり、2025年には323億6000万元(約6800億円)に達する見通しです(※1)。これに伴い、金型補修にもより高度な対応力が求められるようになっています。
こうした技術革新を受け、国内でも政策レベルでの対応が進められています。経済産業省は2025年3月に「素形材産業ビジョン(2025年版)」を発表し、その中で「ギガキャスト等の新技術の開発や導入を進めるに当たっては、国際的な技術基準や規制等も参考にして、産業界と連携しつつ必要な検討を進める」と明記しました(※2)。これは、大型鋳造技術を活かした生産性の高い自動車部品製造の普及に備え、国内産業の競争力強化を示す方向性のひとつです。
EV(電気自動車)の急成長に比例して、メガ・ギガキャストの「生産スピードの向上」や「車体の軽量化」の側面はさらに注目されています。ただし、ギガ・メガキャストは大型の金型を使用するため、一つの金型当たりの製造コストが高く、補修やメンテナンスにも高度な技術と大型設備に対応可能な環境が不可欠です。さらに、その補修技術を最大限に活かすためには、溶損焼き付きや耐クラック(熱サイクル)に優れた溶接材料の活用が重要な役割を果たします。
こうした市場動向を受け、愛知溶業は金型の長寿命化を実現するワンストップの補修技術を明和製作所に提供し、さらに東海溶業の溶接材料と組み合わせることで、3社協力のもと国内外におけるメガ・ギガキャスト対応体制の構築を進めてまいります。
※1参考情報:株式会社日本物流新聞社運営、モノづくり総合ニュースサイトMono Que『
「ギガキャスト」の現在地』
※2参考情報:経済産業省「
素形材産業ビジョン」の資料(第3章「各論と目標実現に向けた取組の方向性」)
2025年5月、愛知溶業と明和製作所は、中国・北米における金型製作・補修の協業に関するMOUを締結しました。このMOUは、メガ・ギガキャストの流れが国内に到来する前に技術を身につけ、国内自動車産業をリードする体制をいち早く築くことを目的としています。また、愛知溶業の長寿命化を実現する金型補修技術を活かし、明和製作所の高品質な金型製作技術と組み合わせることで、中国市場において「製作+補修+メンテナンス」のワンストップサービスで現地の金型製作企業と差別化を目指す、という意向で一致しました。愛知溶業はこの協業を通じて、明和製作所からメガ・ギガキャストの補修実績を積み、将来的にはその技術の国内および世界展開を目指します。
前回の2社間MOUの発表を受け、東海溶業より参入の意向を示されました。東海溶業は肉盛溶接用の専門材料を製造・販売しており、国内外のダイカスト金型市場で豊富な実績を持っています。また、海外各地の代理店ネットワークを活用し、海外に在庫を配置することで短納期対応を可能にし、より高い利便性を提供できる点にも強みがあります。東海溶業の協業により、顧客にとって「必要なときに必要なサービスと材料が届く」体制が整い、とりわけメガ・ギガキャストにおいては従来のダイカストより高温なアルミの溶解温度が求められるため、継続的な溶接材料の開発が期待されます。明和製作所のマーケットと金型製作技術、愛知溶業の金型補修技術、東海溶業の溶接材料と海外現地のネットワークが組み合わさり、海外市場での差別化と、より価値の高いワンストップメンテナンスサービスが期待されます。
- 東海溶業:専門的な溶接材料の開発と供給により顧客のニーズや金型の状態に沿った提案、海外の代理店とのネットワークを活かした在庫・納期対応で協力。
- 明和製作所:海外での金型製作を担い、現地での豊富な実績と信頼関係で金型トータルサービスを提供。
- 愛知溶業:金型の長寿命化を実現する高品質な補修技術を提供し、現地でのメンテナンスサポートを実施。
日系ダイカストメーカーを顧客として営業活動をスタートさせ、需要が拡大している中国をはじめとした海外現地のダイカストメーカーや、メガ・ギガキャストの溶接補修分野にも事業を展開していきます。
また、このような実績を積み、「ワンストップの金型トータルサポートの事業」及び「メガ・ギガキャスト関連の事業」の国内および世界展開を目指してまいります。

東海溶業株式会社代表取締役 大竹 直樹氏当社は、創業以来62年、金型分野、設備分野で肉盛用溶接材料の開発、製造、販売を続け、国内、海外に実績を積んできました。その実績と経験を活かし、中国・北米など海外でのメガ・ギガキャストの補修事業に注力していく方針です。明和製作所様、愛知溶業様との技術連携により、海外での補修事業が展開できるチャンスをいただき、幸甚に存じます。今後も新たな市場のニーズに合わせ、溶接材料の開発に努め、金型・設備の長寿命化に貢献して参ります。
東海溶業株式会社
会社名 :東海溶業株式会社
代表者 :代表取締役 大竹 直樹
設立 :1963年11月
事業内容 :溶接材料の製造・販売/溶接施工
従業員数 :37名
所在地 :〒470-0334 愛知県豊田市花本町井前1番地29
取引実績国 :日本、中国、韓国、インド、タイ、インドネシア、メキシコ
アメリカ、イギリス、トルコ、ベトナム、マレーシア、ブラジル
公式Webサイト:
https://www.tokai-yogyo.co.jp/
株式会社明和製作所
会社名 :株式会社明和製作所
代表者 :代表取締役 大矢知 公則
設立 :1979年
事業内容 :ダイカスト金型の設計製作/ダイカスト金型のメンテナンス等アフターサポート
従業員数 :71名(内16名は海外転勤者)、グループ連結 535名(2024年現在)
所在地 :〒510-1323 三重県三重郡菰野町小島2461-32
海外拠点 :タイ、インドネシア、中国、メキシコ、アメリカ
公式Webサイト:
https://meiwa-jpn.co.jp/
愛知溶業株式会社
ーー”補修に自信”
愛知溶業株式会社は、愛知県一宮市を拠点に『金型にやさしい溶接修理』を掲げ、金型のリユースと長寿命化を推進する企業です。専門技術者が搬出から納品までの全工程を一貫して担当し、修繕の質に絶対的自信を持ち、高品質な金型補修技術を提供しています。また、金型企業のネットワークを活用し、大型金型補修にも対応可能です。お客様の課題に応じたカスタマイズ提案を強みとし、モノづくりの持続可能性と循環型社会の実現に貢献します。
会社名 :愛知溶業株式会社
代表者 :代表取締役 市川 修
設立 :2005年11月
事業内容 :金型製作/金型溶接/金型測定/金型補修/金型溶接教育コンサルティング
従業員数 :57名
所在地 :〒491-0828 愛知県一宮市伝法寺3丁目8-2
公式Webサイト:
https://aichi-welding.com/