名古屋市は「名古屋港ポートビル」(名古屋市港区)で10月、名古屋港と笹島貨物駅(中村区、現あおなみ線ささしまライブ駅南方付近)を結ぶ中川運河の「再生」をテーマにしたワークショップとシンポジウムが行われる。
1930(昭和5)年に完成し今年で80年を迎える中川運河。長さは8.2キロ(支線を含む)、最大幅は91メートルで、当時の新聞では「東洋一の大運河」と伝えられた。昭和30年代は物流の運河として最も活躍し、名古屋は運河とともに発展してきた。その後、自動車の普及などで舟運の物流はトラックなどの陸運に変わり、現在では1日に数隻が行き交うのみ。運河の周りに倉庫が立ち並ぶことから遮断され、近隣住人でさえ運河の姿は橋の上から見るのみとなっているほど。
名古屋市では数カ月前から中川運河の再生計画を始動。名古屋市在住・在勤、通学者を対象に募集した市民20人が、「これからの中川運河のあり方」を考え、アイデアを話し合う3回のワークショップとその成果をシンポジウムで発表する。
10月3日に開くワークショップ第1弾では座学の後、グループに分かれた参加者が中川運河についてのイメージや思い描いていることなどを自由にディスカッション。第2弾(16日)は船に乗り中川運河を視察し記録写真を撮影するほか、気付いた点や思ったことなどを話し合いグループでまとめる。第3弾(23日)は今までの意見、アイデア、情報を基にグループで中川運河の将来像についてディスカッショを行い、同日開催されるシンポジウムで成果を発表する。
「今回の企画は、名古屋市から伝える、教える、学ぶのではなく、思っていること考えたことなどの市民からの意見や本音を聞く目的」と名古屋市の中川運河担当の井上さん。ワークショップの成果は再生計画で活用する。「行政が勝手に思い考えた方針が当たっているとは限らない。計画が立ち上がってまだ数カ月なので、早めに市民の意見を聞いておく必要がある」(井上さん)。
中川運河の魅力について、井上さんは「やはり都心から近くの水辺の空間だという点。ほかの運河に堀川もあるが、中川運河のような広い川幅は魅力的。川幅90メートルを持つ下流では、もともと流れがほとんどなく水面が安定している運河を利用し、ボート競技『レガッタ』の国際レースなどを開催している」とも。
申し込み希望者は、必要事項(ホームページに記載)を記入しファクス、郵送、メールで応募する。応募締め切りは9月10日。