名古屋の山車(だし)にスポットを当てた自主制作のドキュメンタリー映画「名古屋活動写真 開府四〇〇年 名古屋の山車祭」が完成した。
同プロジェクトを手がけたのは、名古屋ビジュアルアーツの映画講師で円頓寺商店街内の雑貨店「零屋(ゼロヤ)」店主でもある森零監督。昨年10月に開催された東区・筒井や中村区、中区、緑区や有松から合計13台の山車が一堂に集まる「名古屋開府400年祭 大山車まつり」を中心に撮影した。歴史ある名古屋の山車の伝統と魅力を伝える目的だという。
風情の残る名古屋・四間道の生まれの零さん。15年前に東区の筒井の建中寺があるローケションが気に入り、その場を住む街として選んだ。そこには山車を担ぐ祭りがあり、零さんも5年前から山車について歩くようになり、そのときから祭の様子や山車を撮影することもあったという。3~4年前に行われた東区市制100周年の祭で建中寺の境内に5台の山車が並んでいた迫力のある光景が目に焼き付いていたといい、「回りに現代を感じさせるものがちょうど見えなかったので、江戸時代を感じた」と振り返る。
今回、開府400年を記念し「名古屋開府400年祭 大山車まつり」に合わせ企画。昨年の元日から撮影を始め、5月に開催された「若宮まつり」や5月の「徳川園山車揃え」、6月の「天皇祭」、10月の「名古屋開府400年祭 大山車まつり」、同16日・17日の「名古屋まつり」を撮影・取材。「延べ100台以上のカメラと約200人のスタッフが手がけ、約100時間撮影した大作」。
それぞれにストーリーがある華やかなからくりの演技や、何トンもある山車が人の力によって道を曲がる見せ場「車切(くるまぎり)」のシーン、地元住民が祭の開催に合わせ毎晩おはやしを練習する姿、山車を担ぐ新人の梶方(かじかた)の姿などを収めるほか、職人や祭の代表者などのインタビューで山車や祭の魅力を伝える。「この人たちの言葉に勝るものはない」と零さん。
「『映像は時空間を物質化する』ものだと考えている。時間として過ぎていくものを映像に収めることにより、祭のような宝ものを残し、映像を見てもらい多くの人の宝物になれば。100年後につなげていきたい」と意気込む。
60分のDVDに仕上げ施設や保存会に、40分のショート版DVDは小中学校などに無料配布する。現在スポンサーを募集しており、完成したDVDを進呈するほか、エンドロールに個人名や法人名を掲載する特典を用意する。申し込みは今月20日まで。