円頓寺商店街(名古屋市那古野)振興組合がフランス・パリの商店街「パッサージュ・デ・パノラマ」(以下、パノラマ)と姉妹提携し、4月2日に調印式が行われた。
調印式には来日したパノラマのローラン理事長と、円頓寺商店街の高木麻里理事長らが着物姿で参加した。ローランさんは「この姉妹提携が交流の場につながることを願う。2つの文化がより理解を深められれば」とあいさつ。「パリで毎年6月に行われるイベント『音楽の日』に日本人ミュージシャンを招き、特別に『日本デー』を開催したいと思う」とも。高木さんは「3月アーケードを改修し新しい商店街に生まれ変わろうとしている節目に、パノラマとの調印式を迎えられて喜ばしい。お互いの文化、商業に刺激を与え合いながら学び合い、愛される商店街になっていきたい」。
姉妹提携実現までは、「ナゴノダナバンク」メンバーで建築家の市原正人さん、同商店街の「ギャルリー ペン」店主でスタイリストの永井千里さん、「商店街とパリが大好き」という小野泰子さんで「パノラマ・円頓寺姉妹提携室」を設け、準備を進めてきた。
姉妹提携のきっかけは2014年の3月ごろにさかのぼる。円頓寺の飲食店で小野泰子さんらが食事をしていた際に、「円頓寺商店街の雰囲気がパノラマに似ている。提携できればいいね」と店主を交え友人と冗談まじりで話していたという。提携準備のため市原さんらにも声が掛かり、知人を通じて話がパリまで届いた。9月末には市原さんらがパノラマに出向き円頓寺商店街をプレゼン。「日本の中での名古屋の位置から説明を始め、円頓寺商店街の歴史やかいわいの歴史的街並みなどを伝えた」。
パリの商店街は1人(1カ所)が全体を所有し、景観デザインも統一されているのが主流。そうした中、パノラマは複数の土地所有者が集まってできている商店街で個性ある外観が軒を連ねるのが特徴だという。
以前はさびれていたというパノラマだが、今では活気を取り戻し話題の商店街とされる。2つ星レストランやギョーザバー、フランスの家庭料理店など「美食のパッサージュ」として若者が集まる。古い切手や絵はがきのコレクションショップなど約60店が立ち並び、近年では建築家のオフィスなども増加。ここ数年で新店舗や新しいイベント開催、取り組みなどで活気を見せ注目を集める円頓寺商店街と通ずるところがある。
調印式後に行われたパーティーでは鏡開きを行い、円頓寺商店街の飲食店から集まった料理と日本酒などを楽しみ交流を深めた。