名古屋駅前に4月28日、名駅かいわいの地図やフリーWi-Fiを備えた「歩行者案内板」が設置され、運用が始まった。
名古屋駅地区街づくり協議会、名古屋市などで構成される「名古屋駅地区における公共空間の利活用を通じたまちづくり社会実験(以下、名駅社会実験)協議会」が、同地区の魅力向上に役立てるために、公共空間で得られる民間事業収益を公共還元していく仕組み作りを検討する目的で実施しているもの。これまでに、街路灯や工事用の仮囲いへ広告を掲出し得られた収益で道路清掃や花壇の管理するほか、公開空地でマルシェを開くなどの利活用を行ってきた。
今回の実証実験は、歩行者案内板に「民間の力」を導入した新たな仕組みを検討することが目的。現状、名駅の街には地図の向きが統一されていない看板が横に並んで設置されているほか、落書きされたままの放置看板など、管理できていないものが多いという。名古屋駅地区街づくり協議会事務局長の藤井さんは「無管理状態の地図を来街者のために直したいというのが動機」と話す。
事業者は公募で選定したエムシードゥコー(東京都千代田区)と、長田広告(愛知県津島市)の2社が参画。名古屋駅交差点付近、近鉄名古屋駅前、名古屋駅太閤通口広場、笹島交差点付近に4基を設置する。主な仕様は、地図の掲載、フリーWi-Fi、ニュース、天気予報、地震情報などの掲示、広告掲載など(内容は看板の種類により一部異なる)。今後、「名駅社会実験」として調査を実施するという。
藤井さんは「乱立している行政が管理する案内板を整理できるかもしれない。収益事業として確立できれば、街づくり協議会の収益事業(エリアマネジメント財)になるかもしれない。業者にとっても事業が成り立つかもしれない。名古屋市にとっては維持更新されていない地図を税負担なしで設置できる可能性がある」と話す。
運用期間は2017年3月31日までを予定する。