
オール東海ロケのホラー映画「NEW RELIGION」が10月3日から、ミッドランドスクエアシネマ(名古屋市中村区名駅4)で公開される。公開に先立ち9月21日、Keishi Kondo(ケイシ・コンドウ)監督と主演の瀬戸かほさんが名古屋で見どころを語った。
同映画は、娘を不慮の事故で失い、コールガールとして働くようになった母親・雅(瀬戸さん)が、ある日、背骨の写真を撮りたいと望む奇妙な男と出会うホラー作品。男の部屋に通ううちに、雅は死んだ娘の霊の存在を感じるようになり、現実が浸食され、やがて社会の崩壊にまで広がっていくというストーリー。
コンドウ監督は「ホラーを撮ろうとは決めていなかった。写真を撮る男を演じた岡論史さんのたたずまいに引かれ、どう撮れば魅力的な映像になるかを考えた。そこに社会に感じている漠然とした疑問や人間の心など、興味があることを加えていくと、ホラー映画になった」と話す。
瀬戸さんは「ホラー映画には出演したことがなかったので不安もあったが、挑戦してみたい作品だった。娘をなくした母親という人間ドラマとは別に、『NEW RELIGION』というコンドウ監督の持つ世界があった。雅の人物像や心についてはあまり聞かなかったが、監督の世界観を知るための質問はたくさんした」と振り返る。
コンドウ監督は「夢か現実か分からなくなるような『NEW RELIGION』の世界は、映画、本、音楽、現代アートなど、あらゆるものから着想を得て生まれた。劇中の赤い部屋は、後から映像に手を加えるのではなく、実際に照明で赤い空間をつくり出し、その中で瀬戸さんに動いてもらった。圧迫感や閉塞感があり、心理的負荷が高いシーンがたくさんあったので大変だったと思う」と話す。
名古屋・大須に拠点を置くコンドウ監督は、カメラマン等主要なスタッフを県内から集め、ほとんどを愛知県内のロケで製作した。「ロケ地は一部が三重県で、9割以上が今池商店街、杁ケ池公園など愛知県内。東京やカナダで暮らしていたこともあるが、名古屋で映像製作などを行う中で、愛知には技術力のあるスタッフ、魅力的な人がいると分かり、ここで優れた映画が撮れると確信した」と話す。
映画は、2022年に英国の映画祭で初上映後、20以上の国際映画祭に招待され、カンヌ映画祭の映画マーケットにも出品。現在は米国、英国、フランス、ポルトガル、ドイツなどで配給されている。「欧州の映画ファンに響くという自信のようなものがあった。実際、多くの映画祭などで上映してもらい、愛知のスタッフとつくり上げた映画が世界に届くと証明できた。今後も名古屋を拠点に、世界中の人とつながりながら、パワーアップして地元から映画を発信していきたい」と意気込む。
国内公開は今年7月の東京を皮切りに、名古屋では10月3日のミッドランドスクエアシネマが初公開。「普段皆さんが歩いている風景が異化されて別世界になるホラー。映画館で、日常のすぐ隣にある異世界を感じてもらえたら」とコンドウ監督。瀬戸さんは「皆さんが想像するホラーとは全く異なる作品なので、映画館で体感してほしい。見終わった後に、感じたことを話し合ってもらえたら」と呼びかけた。
ミッドランドスクエアシネマでは公開初日から9日まで、日替わりでコンドウ監督、出演者、ゲストが登壇する舞台あいさつを予定する。