名古屋を中心に活動する現代美術家と、ドイツ・ブレーメンの現代美術家がタッグを組んだプロジェクト「ONGAESHI(おんがえし)」が進んでいる。
名古屋の大学に留学していたアンナさんとその友人から広がりつながった同プロジェクト。互いの都市を訪れ、1カ月の間、滞在・制作していくもの。展覧会やトークイベント、ワークショップも開き、一般の参加者も含め交流する。
「久しぶりに会って一緒に展覧会でもできたらいいね」という、アンナ・バートさんと日本人の友人の思いから、約2年かけて始動に至った同プロジェクト。知人を通して興味を持ったアーティストが集まり、日本メンバー6組7人、ドイツメンバー6人(うち一人ドイツ在住の日本人アーティスト)、ドイツ人キュレーター1人が参加している。
会ったことのないメンバーと顔合わせをするために、スカイプ上で飲み会を実施。来日中、アーティスト同士で滞在時の生活をアシストすることで交流を深めていくという。タイトルの「おんがえし」には、「恩を受けたから返すという従来の意味だけではなく、現代のアーティスト同士が互いの都市へ招待し合い、作品へ影響を受け入れ合う」という意味を込める。
出来上がった作品を持ち寄るのではなく、アーティストがそれぞれの街に滞在・生活し、制作。生活や人との交流などの影響で、作品が変容していく可能性を狙う。「あえてリーダーを立てていないプロジェクトで、変化しながら進んできた。不安定な部分もあったが、広がる可能性もある」と、メンバーの道楽同盟の増成峻平さん。
すでにドイツメンバーは来日しており、古民家と元繊維工場を活用したアートスペース「つくる。」(一宮市)を拠点に、滞在制作をはじめている。会場探しは日本人メンバーが事前調査し、アンナさんをはじめとしたメンバーで決定。「より日本らしいところや、日本の古いものが気に入った」(アンナさん)。公開制作は11月7日~9日・14日~16日で、15日・22日(両日16時~)はパフォーマンスとアーティストトークも開催する。展覧会は同21日~30日。
「道楽同盟は、芸術は楽しいというコンセプトで活動している。楽しさは文章では伝わらないことなので、国境を越え作品で伝えたい」(増成さん)。「どこまで交流が生まれて影響を受けて、自分たちのプロジェクトがどうなるかを見てみたい」(アンナさん)と期待を寄せる。
2015年3月からの1カ月間は、日本メンバーが渡独し、滞在制作・展示会を行う予定。