地下鉄本陣駅近くに12月3日、1日限定1組の宿「Show和の宿つちや ~豊臣の隠れ茶の間~」(名古屋市中村区道下町1、TEL 052-451-0028)がオープンする。
同宿は、2015年12月に65年の歳月に幕を下ろした名駅西側にあった「つちやホテル」3代目で、パークホテルつちや社長の土屋造さんが自宅の一部を改築し始めた宿泊施設。土屋さんによると「民宿と旅館が融合した、暮らすように泊まれる宿。『和』を見て感じて体験できる造り」という。目の前にある公園には桜の木があり窓からの景色も楽しめる。
宿専用の玄関を入るとお香の香りが漂い、階段で2階に上がるとフロントのある廊下に着く。利用者が使う宿のスペースは約90平方メートル(フロント込み)で、一番手前に荷物置き場兼ドレッサーがある板の間、板の間を抜けると4.5畳の茶室、10畳の和室、テレビのある7.5畳の和室が続き、ふすまを開けると和室部分は一続きにできる。そのほか、和柄のアメニティーをそろえた風呂場(脱衣所に洗濯乾燥機完備)、トイレ、テラスがある。滞在者向けに応相談で共用キッチンの貸し出しも可能。
現在の中村区は豊臣秀吉の出身地で、宿があるエリアは「豊臣学区」と呼ばれる場所。宿には秀吉をテーマにした要素をちりばめる。階段は「出世階段」と名付け、壁面に秀吉に関する出来事や偉業をイラストと文章でポイントごとに紹介。最上段は天下統一した54歳で締めくくり、ほぼ実物大(諸説あり)の秀吉のイラストと並んで写真が撮れる仕掛け。そのほか、茶室、ひょうたんの形をしたふすまの引き手、「お遊びで用意した」という草履や桐紋が入った陣羽織などを配した。生まれも育ちも中村区の土屋さんは「地域の歴史、文化などを発信することで、地元の活性化にもつなげたい」と話す。今後、周辺の店や会社とコラボし、工場見学や体験などができる取り組みも考えていきたいという。
ミーティングや勉強会などの利用も想定し、モニターの役割も果たせるようにテレビは55インチの大画面のものを用意。「ミーティングの後の懇親会会場としての利用、必要であればそのまま宿泊もできる」。約20タイトルが入ったゲーム機も用意し「自分が子どものころに友人たちと和室に集まりテレビゲームで盛り上がったように、ゲームや映画鑑賞などこの宿の部屋で遊んでほしい」とも。11月3日にプレオープンし、知人らが試泊、内観している。「この空間全てを使えるのがうれしい」などの感想が寄せられているという。
食事は無しで、近隣の飲食店を紹介する。近くには、和食、そば、しゃぶしゃぶ、ラーメン、モーニングも提供する喫茶店などの飲食店、駅付近には居酒屋がある。名古屋駅までも地下鉄で2駅、タクシーで1,000円圏内。
宿泊料は3万円(休前日=4万円、年末年始・盆など特別日=5万円)で定員5人。チェックインは16時~21時で、チェックアウトは10時。貸しスペースとしての利用料は1時間5,000円。予約日の5日前からキャンセル料が発生する。
「もともと名古屋にゆかりのある『八』をテーマに新しい『和の宿』を作りたいという思いがあった。一つの宿に複数の部屋があるのではなく、視点を変えて、離れた場所でもその土地の特色を生かした8カ所(8部屋)の宿を持てたら」と意気込みを見せる。