名古屋にある老舗どて煮店を舞台に猫の姿をした人物(猫物)の「トラ」と「ミケ」らを取り巻く漫画の単行本「トラとミケ こいしい日々」が7月16日、発売された。
同作は小学館発行の女性週刊誌「女性セブン」で連載中の人気漫画で、作者は名古屋を拠点にイラストレーター、コミックエッセー、広告イラストなどを手掛けるねこまきさん。
トラとミケは姉妹で、他界した父親から受け継いだどて屋「トラとミケ」を切り盛りする。みその香り漂う店に出入りする常連客との会話や2人の暮らし、手作りの料理、個性豊かな登場猫物に焦点をあてた物語などを、季節の移ろいを交えて温かく描く。名古屋弁の会話が特徴の一つ。
昨年6月に発売された単行本1巻目「トラとミケ いとしい日々」は、発売1週間で重版になり、現在までに第4刷まで発行されるロングセラー。今回の2巻目も発売して早々に売り切れる店が続出するなど大きな反響があり、小学館担当者は「作者ともども喜んでいる」(同担当者)と話す。
「トラとミケのこいしい日々」は全12話で構成。店の常連客でネイルサロンを経営する「ルミちゃん」が仕事に疲れ果て久々に実家に帰る話では、かつてネイリストの仕事に反対した父親のほか、母・祖母との会話で自分を振り返り、取り戻す姿が描かれる。同担当者は「私自身、悩みながら働く一人として、とても共感し何度読んでも胸が熱くなる大好きな一編」という。同じく常連でトラとミケの幼なじみの「シンちゃん」が先立たれた妻をみとった時に仲違いして以来、ずっと疎遠になっていた次男と久々に再会して…という話も「見どころ」(同)といい、この2編は読者から「思わず涙した」という声がたくさん届いているという。
そのほか、読者からは「家族を大切にしよう!仕事を頑張ろう!と思えた」「忙しい毎日に癒やしの時間を与えてもらっている」「生きる気力を与えてくれる漫画」「何回読み直しても、楽しくホッとする」などの声が寄せられているという。
「この作品の魅力は、誰にでも起こりうる何気ない日常を描き出すところにある。おいしいものを食べたり、仲間と楽しくお酒を飲んだり話したり、そんな『ささいだけれど大切なこと』がたくさん詰まっている」「コロナ禍で不自由な毎日が続いているが、だからこそ日常の中にある小さな喜びに耳を澄ませたい。この作品を通して日常の大切さを再認識していただけたらこんなにうれしいことはない」とも。
176ページで、全ページフルカラー。価格は1,375円。