映画「リボルバー・リリー」が8月11日から、名駅の映画館「ミッドランドスクエアシネマ」(名古屋市中村区名駅4)ほかで公開される。公開に先立ち、行定勲監督が7月10日に名古屋で会見を開いた。
長浦京さんの第19回大藪春彦章を受賞した同名小説が原作。大正時代末期、関東大震災に見舞われた東京を舞台に、消えた陸軍資金の鍵を握る少年に助けを求められた元敏腕スパイ・百合の戦いを描くハードボイルドアクション。綾瀬はるかさんが主人公・百合を演じ、共演は長谷川博己さん、野村萬斎さん、豊川悦司さん、シシド・カフカさんら。
行定監督は熊本県出身で、1998(平成10)年に「OPEN HOUSE」で長編映画監督デビュー。「GO」で日本アカデミー賞作品賞を受賞。「世界の中心で、愛をさけぶ」「北の零年」「リバーズ・エッジ」など、注目作を発表し続けている。
行定監督はアクション映画への挑戦について「シンプルに映画を作っていきたいという気持ちもありながら、邦画の実写がどのぐらいの人に届いているのか、求められているのか、懐疑的になってしまう部分もあった。今、打ち出すべきことは何だろうと思っていた時に、このアクション映画の話が来た。どこかで見たようなアクション映画にならないよう、見たことがない映画にしたいと思って作った。自分に期待するという部分で挑戦だった」と話す。
主演の綾瀬さんとの映画は20年ぶり。「最初に会ったのは彼女にとってのデビュー作で、お芝居が全く分からない中で必死にやっていた。今回はもう別人。20年の経験が積み重なり、真ん中にいる主役として非常に頼もしかった。頭で考えるのではなく、肉体として役をつかみにいくので、何を言っても全部に受け応えられる力強さがあった。説得力を持って百合を演じられる女優はほかにいない」と絶賛する。
本作の準備が始まった2022年にロシアとウクライナの間で戦争が起こり、「今、アクション映画を撮る意味を深く考えた」と行定監督。「実際に戦争が起こっている時に、ただヒーロー、ヒロインが強いという映画にしたくなかった。ヒロインが人をあやめたことがある人間でも、観客が寄り添えないものにしてはいけないという気持ちがあった。2023年に生きている人たちに、大正時代の戦いの物語を自分のこととして受け止めてもらうにはどうしたらいいか、常に考えながら撮影していた」と振り返る。
最後に行定監督は「2023年の観客が見ても何かが感じ取れる物語で、そこにアクションが必然としてあるような映画を目指した。主人公の百合が少年を守り、届けるまでの話を、映画のマジックを使って描いた。ぜひとも大きなスクリーン、良い音響で見ていただきたい」と呼びかけた。