アートフォトギャラリー+カフェ「Gallery Lait(ギャラリー ライト)」(名古屋市中村区鳥居通5)で現在、三河仏壇の職人4人で結成された「仏壇クリエーターズ・アートマン・ジャパン」の作品展「仏壇に建築をみた」が開催されている。
「仏壇に対し一生懸命なのに、仏壇職人という職業をいうと笑われたり、認められなかったり、悔しい思いをしてきた。また、死と関連することから縁起が悪いなどと、理解されないことを痛感してきた」と話すのは「アートマン・ジャパン」代表で、設計師兼組立師の都築数明(かずあき)さん。
中国で作られた安価な商品の影響もあり、日本の仏壇の売れ行きは低迷。扱いに困るなどの理由で処分を依頼されることも多いという。「日本の伝統工芸でもある三河仏壇の素晴らしさ、美しさを伝えていかなければならない」(都築さん)、また「売っていかないと」(同)という思いで、アート作品の制作を開始し、仏壇の良さを知ってもらうきっかけにする。
作品は、戦国武将をテーマにしたものや、龍の装飾をあしらったものなど、三河仏壇の技術を生かしたオリジナル仏壇。また、処分された仏壇に使用されていた龍のパーツだけを集め、組み合わせて作った1体の大きな龍の作品も制作。「仏壇を宗教から切り離した作品で、工芸でもアートでもないニュートラルなものを作る」(同)。また、作品は通常の仏壇として使用するもので「祈りのスタイルをおしゃれにする」(同)とも。
もともとはひとりで活動を行っていたという都築さん。「初めはどこで発表するのかさえ分からないほどアートには無縁だった」と当時を振り返る。2003年12月に三河仏壇青年部の仲間の宮殿(くうでん)師の平林さん、彫刻師の石川さん、塗師の伊藤さんで「アートマン・ジャパン」を結成し、名古屋クリエーターズマーケットで初めて個展を開催し、最優秀ブース賞を受賞した。
昨年9月にはニューヨークで初めての海外個展を実現。日本最古の仏壇と呼ばれる法隆寺の「玉虫厨子」を今の技術で制作した「平成宮殿厨子」などを発表。観覧者からは「信じられない」などの評価を得たという。5月にはドイツ・デュッセルドルフでの個展開催も決定している。
「神仏に携わる仕事でありがたい。仏壇は日本の平和の象徴で最高のアート。アートを通じて世界平和を発信してきたい」と意気込みを見せる。
今月23日には、同ギャラリーで「あの世」をテーマにした仏像についてのトークショーも開く。開催は20時からで、参加料は1,500円。展示は今月31日まで。