◎第1回・2回は栄、長者町などを中心に開催
トリエンナーレの意味は「3年に1度」。第1回は2010年に栄地区の愛知芸術文化センター、名古屋市美術館や長者町、納屋橋などを会場に、「都市の祝祭 Arts and Cities」をテーマに開催。第2回は2013年に「揺れる大地-われわれはどこに立っているのか:場所、記憶、そして復活」をテーマに開催され、岡崎市も会場となった。
第3回の会場は名古屋市、岡崎市に加え、新たに豊橋市に拡大。「虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅」をテーマに、過去最大となる38の国・地域から119組のアーティストが愛知に集結し、先端的な現代美術、ジャンルを越境する舞台芸術を展示・上演する。
芸術監督は写真家・著述家で、多摩美術大学美術学部情報デザイン学科教授の港千尋さん。現在から未来まで、人が創造しながら旅をしていくイメージをキャラヴァンという言葉に託し、世界中のさまざまな人が愛知県に集う祝祭を演出する。(写真=港千尋芸術監督)
◎JPタワー名古屋にアート作品が出現
名駅地区は名古屋駅に隣接する「JPタワー名古屋」が展示会場。愛知県出身で現在、岐阜県を拠点に活動するアーティストの森北伸さんが同ビル2階貫通通路に作品を展示している。チャップリンの映画「モダン・タイムス」をモチーフにした作品で、愛知芸術文化センター地下2階には同じく映画「ライムライト」がテーマの展示が行われている。(写真=森北伸 JPタワー名古屋)
「ジェイアール名古屋タカシマヤ」1階メインステージでは、愛知県出身で服飾をモチーフにした作品を制作するアーティストの佐藤翠さんが、同店で取り扱っている靴とコラボレーションした作品を展示している。同店での展示は8月23日まで。佐藤さんは長者町会場の「八木兵錦6号館ビル」と岡崎市の六供会場の「石原邸」に作品を出展している。(写真=佐藤翠 ジェイアール名古屋タカシマヤ)
名古屋の経済、交通の中心地である名駅には、さまざまな目的の人々が行き交っている。忙しく歩く人々が思わず立ち止まり、色鮮やかで繊細な作品にしばし見入る姿は、アートの持つ力を感じさせる。そして名駅地区が再開発の大きな変貌を終えた時には、機能的な中にも豊かに成熟した文化的な風景が見られることを期待する気持ちが大きくなった。
◎個性が見えてきた愛知でのトリエンナーレ
「旅」が大きなテーマとなる今回のトリエンナーレで、街の玄関口である駅付近で作品が見られることは、とても重要だろう。岡崎市は「名鉄東岡崎駅ビル」内で、豊橋市は豊橋駅近くの「穂の国とよはし芸術劇場PLAT」や駅前のビル群ですぐに作品にたどり着くことが可能となっている。それぞれの都市に住む人も、県外から訪れる人も、街に着いてすぐにトリエンナーレの空気を感じることができる。ハイレベルな文化芸術施設を複数使用する都市型芸術祭でもあり、広範囲にわたる展示会場を巡る地域観光型芸術祭でもある「あいちトリエンナーレ」の個性が、今回のテーマと会場展開、県内各地のリサーチと滞在制作に積極的に取り組むアーティストたちの創作により、いよいよ明確になってきた印象だ。
会期中は設楽町、大府市、一宮市、安城市の4カ所で、参加アーティストの作品を巡回展示する「モバイル・トリエンナーレ」も開催される。この夏は各地を巡りながら、アートを楽しみ、愛知県の魅力を再発見する旅をしてみてはいかがだろうか。
(竹本真哉)
あいちトリエンナーレ2016
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