七夕祭りでにぎわう円頓寺商店街内のギャラリーショップ「galerie P+EN(ギャルリー ペン)」(名古屋市西区那古野1、TEL 052-485-7166)に7月27日、気仙沼の地酒などを販売するブースが登場した。
同企画は、気仙沼市の北東部・鹿折(ししおり)地区にある小売り酒店「味屋酒店」店主の茂木幹一さんが手掛ける「気仙沼復興支援プロジェクト」の一環。同店は今回の東日本大震災で、津波で船が追突するなど、現在はシャッターの面影をわずかに残すだけに姿を変えた。
震災後、店に置いてあった大きな瀬戸物の招き猫を無傷の状態でがれきの中から見つけた際に「商売続けろよ!」とメッセージが詰まっているかのように思え持ち帰り、再スタートを決意した。東京・四谷にある須賀神社の神主から声を掛けてもらい、神社の祭の出店に混ざり、気仙沼の地酒などを販売する店を出したのが始まりだという。これまでに、6月に東京都内2カ所で「気仙沼味屋酒店復興支援市」を開催。今後は月2~3回、全国各地で復興支援市を進めて行く予定。
同ギャラリーでのオープン当日は、茂木さんの姉の夫で、東京で呉服店を営んでいる中島寛治さんが同店メンバーと一緒に店を切り盛りした。同店代表の永井千里さんとは古い友人関係で、永井さんから名古屋でも開催しないかと話を持ち掛けたという。
店頭に併設した「日本酒バー」と店内で、気仙沼に2つだけある酒蔵「男山本店」と「角星」の地酒約10種類を販売。両社とも事務所や店舗は津波で壊滅的な被害に遭ったが、酒造蔵・所蔵タンクは数メートル手前で津波が引き、流されずに済んだという。
気仙沼というと漁師町で、カツオ、サンマ、フカヒレなどのイメージが強い。「地酒があることはあまり知られていないので、このプロジェクトを行うことは最初通用するか自信がなかったと聞いている」と中島さん。「飲んでもらっておいしいという声を聞き、PRする自信が付いた。味は辛口と言われるものが多く魚料理によく合う味」。また、「一般の方に飲んでもらい、知ってもらうのももちろんうれしいが、料理店、業者などに継続的に販売できるようになってほしい」とも。
そのほか、震災後に製造を再開し初めて出来上がった「気仙味噌」(赤・白、各550円)、「ヤマセン 特級しょうゆ」や、震災の影響でこれから1年~1年半は採ることのできない「三陸産おさしみわかめ」(400円)なども並べる。
営業時間は12時~21時。29日夕方からは「味屋酒店」店主の茂木幹一さんも駆け付ける。営業は七夕祭り最終日の今月31日まで。