俳優・脚本家・演出家の宅間孝行さんが立ち上げた新企画「TAKUMA FESTIVAL JAPAN(タクフェス)」の地方ツアーが10月末、名鉄ホール(名古屋市中村区名駅1)を皮切りに、広島、福岡、札幌、富山など全7劇場で行われる。
この日、PRで名古屋を訪れた宅間さん。昨年解散した自身が主宰する劇団「東京セレソンデラックス」は昨年、名鉄ホールで大千秋楽を行った。
新しい企画について「演劇というカテゴライズされないステージ、エンターテインメントをつくりたい」と宅間さん。昨年の公演で、開演中の飲食、開場から開演までの時間を楽しんでもらうために出演者が登場し自由に写真撮影に対応する、グッズ購入者にはサインする、公演終了後は出演者がダンスを披露するなど、試みてきたという。いずれも好評で劇場関係者にも理解が得られた。「今までだと堅苦しすぎる。飲み物を飲むのもだめなのか、お手洗いなどで席を立つのも気が引けるのかなど。公演を行う側の都合ばかりだった。もっとお客さんの目線に近づけて考え、気楽に見にきてもらえれば」「これが5年、10年たって違うジャンルのものに確立されているといいなと思う」
生のライブを見に来ることの楽しさを伝えたいとし、「日本人にはまだまだなじみが少ないこと。その日のライブでしか体験できない、スペシャルなことであると感じてほしい。ステージにいる側とお客さんとのお互いの相乗効果でその場がつくられていく」。客席の反応や笑い場起きる場面なども地方により異なるという。
今回の公演「晩餐」は、3年ぶりの新作。吉祥寺のシェアハウスが舞台で、幼いころに死に別れた母親に、タイムマシンに乗って60年後の未来から会いに行く夫婦の物語。夫婦役は、中村梅雀さんと柴田理恵さん。男の母親を田畑智子さん、父親を宅間さんが演じる。「ドラえもんは机の引き出しがタイムマシンだが、この物語は洗濯機(笑)。タイムスリップ先はお約束通り、未来から来たということは内緒で、梅雀さんらは宇宙人として振る舞ってもらう。実は梅雀さんに宇宙人の役をやってもらいたいという思いで考え始めた物語(笑)」。コント的な要素と家族愛のようなものを感じられる振り幅の大きい作品になるという。
宅間さんにこれから先にどんなことがしたいかたずねてみると、「劇場街を作りたい」と答えが返ってきた。「芝居、映画、音楽などが集まる街。そこを訪れるとスタッフもキャストも夢を見られるような。従事する人も増えるだろうし。また、民度が高くなると思う」とし、「一人では実現が難しいが、こうして発していると同じような思いを持った人と引き合わせてくれる」と展望を語る。
「晩餐」のチケット価格は7,500円。前売りチケット販売は8月17日から。