
名古屋のどて煮店を切り盛りする猫の姉妹「トラ」「ミケ」が主人公の漫画「トラとミケ」の第7巻「まぶしい日々」が7月31日、発売された。
「サツキ」が「杏子」に「私たち友達にならない?」と誘った友達になるきっかけの一幕
小学館発行の女性週刊誌「女性セブン」に連載中のねこまきさんの漫画作品を再構成し、加筆・修正してまとめた単行本。ねこまきさんは名古屋を拠点に活動するイラストレーター。1巻は2019年に発行。今巻で累計部数が13万部を超えた。作品は季節に沿った12話で構成。トラとミケのほか、どて煮店「トラとミケ」の常連で個性的な登場人物(猫物)や会話で飛び出す名古屋弁などが物語を彩る。
7巻で主に描かれているのは、年の離れた女性2人の友情。2人は母親を亡くした49歳でイラストレーターの「杏子」と母親の親友だった「サツキ」。月に1度、母親とサツキの行きつけでもあった「トラとミケ」で会うことになった。仕事がうまくいっているわけでもなく友達もいない自己肯定感の低い杏子と活発なサツキの2人がサツキに導かれるように友情を育んでいく。杏子の表情は回を追うごとに明るくなっていき、サツキも杏子と過ごすことで心に抱えた傷が癒やされていく。
同作品を担当する編集者の橘高真也さんには「いくつになっても生涯の友と呼べるような友達ができることや、たった1人の誰かとの関係を通して人生は大きく変わっていくことを伝えられたらと、ねこまきさんと相談しながら描いてもらった」と話す。この7巻を通じて「一方通行ではない友情関係の豊かさについて再認識した」とも。
橘高さんによると、サブタイトル「まぶしい日々」は、多角的な視点から誰の人生も「まぶしい日々」になるはずという思いをこめた。「社会的にうまくいっているように見える人も、内面では分からない。物語でも、はたから見れば杏子は好きな仕事をする成功者に見えているかもしれないが実際はそうではない、明るいサツキだが結婚生活がうまくいかず将来にも不安を抱えているなど、視点により人生の様相は一変する。見方を変えることで、一面的ではない『まぶしい日々』が伝われば」(橘高さん)と話す。「杏子は戦隊モノの、サツキは郷ひろみさんの「推し活」をしている。『推し』がいる喜び、まぶしさも描いている」とも。
仕様はA5判、176ページ。価格は1,540円。