路上靴磨きから名駅にある洋品店内にインショップを構えた「靴磨きSTAND GAKUPLUS」(名古屋市中村区名駅5、TEL 052-561-2410)で現在、女性靴磨き職人が修業を重ねている。
同店は昨年、当時大学生だった靴磨き職人の佐藤我久(がく)さん(22)が自身の誕生日の10月9日にオープン。2013年12月13日から名古屋駅前で始めた路上靴磨き時代に出会った人を通じ紹介された「尾張屋洋品店」店主に見初められ、同店内にカウンタースタイルで開設した。今では靴磨きのほか、靴の水洗い、革の染め、靴以外の革製品も扱うほか、出張靴磨きや、ビジネスマン、主婦、小中学生に向けたスクールなども展開。インショップを拠点にしながら外にも出て、靴磨きを広めるために活動し続けている。佐藤さんは「ずっと路上だったので屋根のあるところで靴磨きできるのがありがたい」と笑顔を見せる。
現在、店頭に立ちながら修業を続けるのは、名古屋市出身の河村真菜さん(24)。会社勤めをやめて靴磨きの分野に飛び込んだ。靴磨きに出会ったのは友人から借りた本に載っていたイタリアの靴磨き職人ロザリーヌさんを知ったことがきっかけ。「もともと革製品は好きだったが、靴磨きはロザリーヌさんを知るまでは見向きもしなかった分野。人や社会に与えるものが大きく驚いた。いつか自分でもできるといいなと思っていた」
ネット検索で「GAKUPLUS」を知った河村さんは、佐藤さんがツイッターで「職人募集 年齢18歳~22歳」とつぶやいているのを見て連絡を取った。これまでにも佐藤さんの元には多くの問い合わせがあったが、「一番、靴磨き職人らしくない人に来てほしかった。本気なら年齢の枠を超えて来てくれるかなと思った」という。河村さんのほか、希望者には学校で学んだり他の同業者を見たりすることを勧めたが、「河村さんはほかも見た上で、それでも『ここがいい』と言ってくれ、『熱いな』と思った(笑)」と振り返る。河村さんは「このお店の『これから』な感じが気に入り、一緒に盛り上げていきたい」と申し出たという。
「同世代なので言いたいことを言ってくれて、一緒に考えてくれる、いいコンビ」と佐藤さん。河村さんは「一から教えてもらっている。全てお任せしてもらえるような職人になれれば」と意気込む。「磨かれた靴を見て『今日も一日頑張ろう』と人に与えることができるなど、靴磨きは深さや可能性があり面白い。靴磨きは仕事としてのポジションが低いので、ロザリーヌさんに近づけるように変えていきたい」とも。
営業時間は12時~20時。日曜・月曜・祝日定休(臨時休業あり)。