名古屋城天守閣を望む「ホテルナゴヤキャッスル」(名古屋市西区樋の口町3)が6月10日、建て替えのため9月30日から一時休館することを発表した。現在は休館プロモーションを展開している。
1969(昭和44)年10月5日に、「名古屋城を庭に見立てた」名古屋を代表する一流ホテルを目指し開業。1988(昭和63)年に中部圏で最大の宴会場「天守の間」を増築し、フィットネスクラブを別館で開業。2000(平成12)年にはウェスティンホテル&リゾーツ(当時はスターウッドホテル&リゾーツ)と提携し「ウェスティンナゴヤキャッスル」に改称し、全館改装した。2018(平成30)年にウェスティンホテル&リゾーツと契約満了で元の「ホテルナゴヤキャッスル」に名称に改称した。
建て替えは、建物の老朽化と名古屋の経済活性化を目的にした高級ホテルの建設が理由。今の名古屋には国内外のVIPが滞在できる十分な設備を持った高級ホテルがなく、愛知県と名古屋市が連携し、高級ホテルを誘致する補助金制度を出している。同ホテル担当者は「お客さまが過ごすスペースは改修しているため問題はないが、配管やバックヤードの傷みが激しくなってきている」「名古屋で最も客室単価が高いホテルでも関東・関西では中レベル。国内でも屈指の高級ホテルを建て、愛知県、名古屋市の発展に寄与する」と話す。
休館に際し特設サイトをオープンした。サイトでは軌跡、エピソード、思い出などを掲載。最上階のレストラン「クラウン」につながる展望エレベーターや回転バー、自然と名古屋城を望める屋外プールなど今はない昔のホテルのしつらえや、皇族が来館したときの様子などを写真とコメントで紹介。今後、動画や利用者からのメッセージなども掲載し、サイトを充実させるという。
記念企画も多数用意する。「クラウン」などの往来のメニューを再現した料理楽しめる企画を展開。皇族のほか国内外のVIPが利用する特別な部屋としてこれまでプラン化していなかったスイートルーム「インペリアルスイート」を「休館前に泊まっていただきたい」という思いで初めて宿泊プラン(33万円)を提供する。宿泊とスイートルーム内でのフレンチコースの夕食、朝食、ハーフシャンパン、記念品などを用意する。
休館発表後、思い出のホテルで過ごしたいと来館する人が増えているという。担当者は「まちなかのホテルではなく、立地上、わざわざ来るホテルのため確固たる顧客がいる。ホテルスタッフの名前を呼んでくださる方、『記念日には毎回キャッスルを利用している』『キャッスルで2世代にわたり結婚式を挙げた』など、当ホテルは『キャッスルさん』と呼ばれ地元に愛されていることを実感している」と話す。