エスプラナードギャラリー(名古屋市西区那古野1)で3月2日、「僕らのポートフォリオ展2022」が始まった。
デザインやアート、建築、ファッションなどを学ぶ現役学生のポートフォリオ(作品集)を展示する同展。2013(平成25)年に、「クリエーティブ制作の成果発表の場をつくりたい」と考えた学生が有志で企画し、今回で10回目の開催となる。企画・運営スタッフは、参加者と同じく美術大学や専門学校に在学中の学生たち。実行委員会代表を務める間宮千晴さんも、建築・インテリアを専攻する大学生だ。「毎年スタッフを一新するのが決まり事の一つ。歴代の先輩たちからアドバイスはもらえるものの、基本的には新規メンバーが一から企画を組み立てていく。昨年5月ごろから1カ月程度かけて先輩たちから引き継ぎ、企画の詳細を決めていった」と間宮さんは振り返る。
今回のテーマは「テン」。参加する学生一人一人を「点」と捉え、「点と点がつながって新たな造形物が生まれるように、学生の接点をつくる場にしたい」との思いで、メインビジュアルのデザイン設計や会場内のサイン計画、什器の仕様などを決めていった。「同じクリエーティブ系学生でも私自身はグラフィックデザインには明るくない。代表という立場ではあるものの自分にできることは何か模索しながら、メンバー同士で助け合い準備を進めた」と間宮さん。
実行委員会は、展覧会準備と並行して会場のある円頓寺商店街とのコラボ企画「僕らのポスター展」も進行。大学1・2年生を中心に参加者を募り、商店街の店舗で撮影と取材を行った。間宮さんは取材現場のディレクションやインタビューのサポートなど、人と人をつなぐ役割を担ったという。制作したポスターは3月末まで協力店舗でも展示される。
会場に並ぶポートフォリオは、大きさも仕様もさまざま。ファイリングされているものだけでなく、複数種類の布を組み合わせて表紙を立体的に装飾したものや製本したものも。「ポートフォリオは制作した人を表す『鏡』のようなもの。手にした時に感じる手触りなどを通じて、クリエーターの姿を感じ取ってもらえたら」(間宮さん)。
ポートフォリオ展示と併せて、開催10回目という節目を祝う記念企画を用意。歴代代表のインタビューをまとめた「僕らのポートフォリオ展10年の歩み」では、当時の思い出や現在の活躍を紹介する。テーマの「テン」にかけて企画した「僕らの出発テン」では、来場者に対して「自分と向き合う」きっかけとなる4つの質問を用意。質問を受けて抱いた感情をカードに記し、会場内に飾るという、来場者参加型の内容となっている。
約10カ月間にわたる準備期間を経て初日を迎えた間宮さんは、「大学での勉学と展覧会準備という、二足のわらじを履く生活は大変だったが、メンバーみんなで思い描いた展覧会が現実のものとなったことが何よりうれしい」と感慨無量といった表情を浮かべる。
会場での展示に加え、ホームページ上でもポートフォリオを鑑賞できる「WEB展示」を同時開催。「WEB展示」でしか鑑賞できないポートフォリオもあるという。
開催時間は11時~19時。3月6日まで。終了後は国際デザインセンター(中区栄3)に会場を移す。会期は3月10日~14日。