紅葉が見頃を迎えた名古屋城(名古屋市中区本丸1)内で11月29日、秋の特別公開企画「アートサイト名古屋城2023」が始まった。
アートサイト名古屋城は、現代アートの作家4組が、名古屋城の歴史や復元作業からインスピレーションを受けて作品を制作し、城内の各所に展示するアートプロジェクト。
玉山拓郎さん+GROUPは、本丸の「本丸御殿」エリアの中庭に展示。滑らかな曲線を描いて蛇行するパイプに大量のLEDパイプ照明と掃除用具のモップをつり下げる立体造形を制作した。400年前にもあったであろう、舞い落ちる葉をほうきで掃く営みに着想を得たという。
寺内曜子さんは、御深井丸の「茶席」エリアの2つの茶室「望獄茶席」「猿面茶席」に展示。茶室という日常にない狭い空間中で作品と向き合うことで、「私たちは世界の部分しか見ることができないこと」「物事はひとつながりであること」を体感する作品。この日は、参加者が手に持った器の水面に月を映す参加型プロジェクト「タゴトノツキ 誰毎の月」を行った。
丸山のどかさんは、二之丸の「二之丸庭園」エリア内の15カ所に展示。庭造りのために積まれた岩や庭木の手入れのための剪定(せんてい)道具、発掘作業に用いた土のう袋など、庭園にまつわるものを木材によるアートで制作して各所に配置。作庭後に大規模な改修が施され、現在も発掘や復元が続く二之丸庭園の営み、庭に関わってきた異なる時代の人々の労働を描き出す。
山城大督さんは「西之丸」エリアに展示。名古屋城築城以前の600年前から生きているとされるカヤの木の実や葉から、エッセンシャルオイルを精製。その香りを鑑賞者に提供する。12月9日には、カヤの木を囲み、樹木医・寺本正保さんとのトーク、音楽家・蓮沼執太さんによるライブを開催する。
期間中、「史跡・文化財等の特別公開」も併せて開催。普段は16時で入館受け付けを終了する「名古屋城本丸御殿」を夜間特別公開する。明治時代初期に建設された「乃木倉庫」の特別公開も行う。夜間は紅葉が色づく「二之丸庭園」をライトアップする。
本丸御殿では窓から中庭にあるアート作品を、二之丸庭園ではライトアップされた紅葉と共に展示を見ることができる。
入場時間は9時~19時30分。茶席エリアの観覧時間は17時まで(土曜・日曜のみ夜間ツアー開催)。入場料は、大人500円、中学生以下無料。12月10日まで。