名古屋駅の太閤通口噴水広場前で11月23日、名古屋芸術大学デザイン学部の学生らがライブペイントイベント「アートサーカスstage.2」を行った。
同企画は、NGO団体「NGOア∞ス」のメンバーによるボランティア活動の一環。同団体は10~20代の学生や会社員など約30人のメンバーが所属し、「社会的に『つまらない』ことを、いかに『面白く』して参加を呼びかけ、活動するか」を目的に、毎月1回コスプレ姿でゴミ拾い活動を実施している。
今回は、同団体に所属する名古屋芸術大学デザイン学部同学科3年の斎野悠さんがリーダーとなり、1枚の絵を通行人と一緒に完成させるアートイベントを実施。主催者は、ツナギを着た同校の2年生と3年生、計5人。6時間のイベント開催中、300人を越える通行人がアート制作に参加した。
「本来、アートは一部の人のものではなく、多くの人と共有し分かち合うものだと思う。6時間という限られた時間の中でも、1枚の作品が少しずつ出来上がる過程の中で、道行く人々が心温まる交流ができれば」と斎野さん。また「名古屋駅はとても多くの人が行き交う場所で都会ではあるが、肩がぶつかっても謝らない人がいる。そんな『冷たい空気をなくしたい』と思ったことも活動を始めるきっかけになった」(同)とも。
イベントスペースにはB1サイズのキャンパスを3台設置し、20色ほどの絵の具を用意した。キャンパスにはあらかじめ花の絵を模ったシートを貼り、参加者がスタンプを使い枠の中を好きな色で埋めるだけいいよう配慮した。この配慮について、斎野さんは「前回は『キャンパスに絵を描いてください』と言って参加者に筆を渡していたが、『私は絵がうまく描けないから』という声が多く、次に開催するときは誰でも簡単に絵が描ける工夫をしないといけないと考えた。そこで、イラスト枠を用意し、その枠の中を自由にスタンプして色を埋めていく方法をとった」と話す。
用意されたスタンプは、コルクや瓶、紙粘土製のもの。イラストのモチーフを「花」にした理由は「ちょうど実施日が勤労感謝の日なので、『感謝の花』をイメージした」と斎野さん。
イベントを終えた斎野さんは「何より嬉しかったことは、私たちの『よかったらいっしょに絵を描きませんか』という呼びかけに多くの方が足をとめてくれたこと。名古屋駅という『人間の交差点』のような忙しい場所で、少しでも興味を持って立ち止まってくれる人がいるということは、私たちスタッフにとって何よりも嬉しいことであり、また次回開催しようという原動力にもなる。私たちが目指すのは、サーカスのようにふらりと現れ、人々の心に足跡を残し、また去っていく旅芸人。そんな存在なのかもしれない」と話す。
同イベントのペイントリーダーで同学科3年の竹内さんは「このイベントが人と人が触れ合うきかっけ作りになればうれしい。誰でも簡単に絵を描けること、そして1枚の絵を複数の人が手がけていくことで人と人がつながっていくことを実感してもらえたら」と話す。
同団体はショッピングモールなどからの出店要請もあり、来年7月には名古屋駅以外の場所でも活動を行う予定だという。