食べごろの果物を対面販売-「引き売り」商法の果物店が名古屋進出

オフィスビルで果物の「引き売り」を行う岡浜さん。

オフィスビルで果物の「引き売り」を行う岡浜さん。

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 国産果物を扱う「ダイナミックフルーツ」(東京都台東区)は10月から、名古屋支社(名古屋市中村区名駅4)を設け、名古屋駅のオフィスビルなどを訪問し食べごろの果物を対面販売する「引き売り事業」を行っている。

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 同社は、昨年7月から果物の引き売り事業を始め、関東エリアでは東京・上野をはじめ立川、町田など事業所を増やしている。訪問地域は同23区内のオフィス中心で、東海エリア以西の地盤固めのため名古屋に支店を開いた。

 野菜ソムリエ(ジュニア・フルーツ&ベジタブルマイスター)の資格を持つ同社の長浜大社長は毎朝、北部市場(豊山町)から旬の国産果物を10キロ箱で100個ずつ仕入れる。朝のオフィスではアップテンポな音楽を流し、約15分の朝礼を行った後スタッフを元気に送り出す。勝負は8時間。20代を中心とした若い男女約15人が、最大80キロを台車に積み、毎日アポイントなしでオフィスビルを訪問する。

 同事業を始めたきっかけについて、長浜社長は「もともと輸入雑貨の販売をしていたが、茨城県で青果店を営む実家に頼まれて取引先に果物を販売したところ、売れ行きは好調。これは果物に焦点を絞った方がいいかもしれないと果物の販売に切り替えた」と話す。

 同社長は「若い人の果物離れは深刻。果物をもっと身近に感じ、しかも生産者の思いを届けるには、対面で果物の食べごろや食べ方を伝えていく必要があると強く感じた」と話す。「事業を始めて1年半だが、果物の潜在需要がかなり高いことが分かった。この手応えを頼りに、より多くの方に安心できておいしい国産果物を『引き売り』という独特な販売スタイルで届けていくほかない」(同)とも。

 今冬は「柿」「みかん」「洋なし」を中心に扱うという。「今一番のおすすめ」(同社長)は「あんぽ柿」。それぞれの価格は、250円~500円で「手ごろ」(同社長)という。購入した果物がおいしくない場合は、交換や返金もできるという。

 スタッフ歴1年の岡河さんは引き売りについて、「農家の産地研修に参加したときに、生産者によって商品の味が全く違うことや果物を出荷するまでの努力を知り、農家の声をみんなに届けたいと思った。農家や市場の人が対面で果物を販売する機会は少ないので、私は生産者のメッセンジャーとして役に立ちたい。体力勝負だが、やりがいを感じている」と話す。

 雨天時の販売については、「雨の日こそ勝負時。雨が降ったらオフィスから一歩も外に出ない人が多いので売り上げも好調。雨に濡れてしまったダンボールの底が抜けてしまうというハプニングもあり、晴れの日よりは大変ですが(笑)」と岡河さん。

 今後の目標について、同社長は「名古屋に進出してまだ1か月だが、オフィス客の反応も上々。特に冬場は暖房で乾燥した社内で人気があるので、売り上げの伸び率もアップするはず。これからが勝負。現在の売り上げは1日40万円だが、目標は100万円」と意気込む。

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