リリース発行企業:株式会社eWeLL
在宅医療の質向上と業務効率化のDX支援サービスを提供する株式会社eWeLL(証券コード:5038 本社:大阪市中央区)は、医療過疎地で住民の想いに寄り添う訪問看護「いなかんごプロジェクト」等で注目を集める「ななーる訪問看護ステーション」(運営:テキックス株式会社 本社:大阪市中央区)が全12か所の拠点で実践する“リモート支援型専門運営”による訪問看護の構造的課題に挑んだ事例をご紹介します。
遠隔地の拠点をリモートで支援する「ななーる訪問看護ステーション」の本部(大阪市中央区)
現場の看護師が「看護」に集中できる環境を、どう実現するのか。
デジタル技術を基盤にした業務効率化と看護の質向上を同時に実現する本取り組みは、慢性的な人材不足に悩む訪問看護業界に新たな可能性を示しています。
■訪問看護業界の構造的課題
訪問看護の現場は、看護業務に加え、日々の記録管理、多方面からの電話対応など多岐にわたる事務作業に追われがちです。特に医療保険と介護保険が複雑に絡み合う請求業務については、専門知識を持つ事務員の採用は難しく、管理者が看護と事務を兼務し疲弊するケースも少なくありません。
公益社団法人 日本看護協会の2022年の調査によると、訪問看護の事務職員は、1ステーションあたり常勤換算で0.7名です。これは、総従事者の9名(常勤換算)に対して、1割を切っています。
一方で、同じ医療機関である診療所においては4名に1名が事務職員という構成で、訪問看護ステーションは事務担当者が特に少ない人数で運営せざるを得ない状況にあります。(※1)
この構造的課題は、看護師の負担増とケアの質への影響、規模拡大を妨げるボトルネックになるものです。
■ななーる訪問看護ステーションの挑戦
こうした構造的な課題をテクノロジーの力で乗り越え、時代に即した新たな看護の創造に向けた挑戦をしているのが、大阪府に本部を置き訪問看護事業を行うななーる訪問看護ステーションです。
「心身が不調な人も安心して暮らせる街を創る」――このパーパスの実現に向けテクノロジーを駆使して「看護師が本来の看護に集中できる環境」づくりを追求しています。
設立当初から「デジタルファースト」で業務フローを設計し、サテライトを含む全12拠点・看護師48名(2025年5月時点)のバックオフィス業務を大阪の本部に集約する体制を構築しています。
「訪問看護の事務職を確保し、育成するのは本当に難しい。だからこそ業務を本部に集約し専門特化することで、本部も現場も専門性を高め、質の高いアウトプットと知識の社内蓄積を目指しました。テクノロジーがこれを可能にし、拠点増にも柔軟に対応できるのが強みです」
(ななーる訪問看護ステーション 常務取締役・勝眞久美子氏)
本部には事務スタッフが常駐し、レセプト業務、カルテ管理、記録チェック、電話対応、病院連携等を担います。
これにより、各拠点の看護師は事務作業から解放され、看護に集中できる環境が実現。コスト抑制、請求漏れ防止、ガバナンス強化にも繋がっています。
現場と本部の物理的距離による情報伝達の懸念は、チャットツールや自社のポータルサイトやアプリによるリアルタイムな双方向の情報共有で補っています。
■DX化で実現する質の向上と人材育成
本部集約型DX運営の真価は、経験豊富なスタッフによる手厚い遠隔サポートにも表れています。本部では各拠点の訪問記録や患者様の状態変化をリアルタイムで把握。夜間緊急対応や終末期ケアの細やかな変化まで見守ります。
この「見える化」された情報連携は、本部からプロアクティブな支援を可能にします。
「例えば、夜間オンコールが続くスタッフがいれば疲労度を察知し業務調整を提案するなど精神的フォローをします。終末期ケアでデリケートな判断が求められる場面では、経験に基づいた助言を即座に送れます。現場が一人で抱え込まず、安心して質の高いケアに臨めるのが強みです」(勝眞氏)
高い成長を目指せて看護に集中できる環境は、看護師にとっても働き甲斐と働きやすさを両立した環境ともいえ、経験の浅い看護師からより質の高い看護を目指す看護師まで幅広い看護師にとって魅力的な職場です。
何よりもサービスを受ける在宅療養者にとっても安心してサービスを受けられる提供体制がとられており、地域医療にとっても必要なステーションとなっていきます。
これは、単なる「ICT化」ではなく「DX」により業務プロセスやサービスモデルが変革され、社会的価値を生み出していることの表れだと考えます。
■地域医療への貢献:採用困難エリアでも“質の高い看護”を
人口の減少が著しい過疎地域では医療アクセスが困難な一方で、住み慣れた地域に誇りを持ち、自宅での看取りを望む方が多くいます。
しかし、こうした地域での専門事務員や高度なスキルを持つ看護師等の採用・確保は極めて困難です。
本部に専門機能を集約することで、各拠点は看護師の採用・育成に注力できます。
ICTを通じて専門知識やノウハウを遠隔地へ効率的に供給し、従来困難だったエリアでも質の高い訪問看護の提供を可能にしています。
■DX運営を支える電子カルテ「iBow」
この革新的運営を支えるのが、訪問看護専用電子カルテ「iBow(アイボウ)」です。
ななーる訪問看護ステーションでは2017年の導入以来、全拠点の基幹システムとして活用。
訪問看護専用電子カルテ「iBow」