
宮崎県日向市原産のかんきつ「日向(ひむか)へべす」を使った商品の専門店「ハレのひむか」(名古屋市西区那古野1)が7月25日、円頓寺商店街近くにオープンした。
「ハレのひむか」店内にディスプレーする宮崎特産のかんきつ「日向(ひむか)へべす」
同店女将(おかみ)の川橋田香子さんは宮崎出身。幼い頃からなじみのあるへべすを使った商品の会社「K&Co.」(三重県)を夫の伸一郎さん(同社社長)と2019年に立ち上げ、通販のほか、イベント出店で販売を続け、今回、念願の実店舗出店にこぎ着けた。
2階建ての店舗面積は約9坪。ジュースや酒に合うというシロップ、唐揚げや焼きナスにも合うというポン酢、「ダックワーズ」などの菓子、果皮を混ぜ込んだしゃりを使うサバずし、スライスを重ねて作るタイの昆布締めずし、果皮入りの卵液を焼き上げるだし巻き卵などの商品を並べる。「へべすの特徴は皮が薄く、果汁率が高く、やさしい酸味、宮崎で大切に栽培を続けている」と田香子さん。伸一郎さんは「和でも洋でも何にでも合う」と話す。
同店は、遊休物件をリノベーションし、テナントを導入してまちのにぎわいづくりを目指す、名古屋市、名古屋まちづくり公社、地域のまちづくり団体が連携する「エリアリノベーション促進事業」が手がけた物件に出店。公社がオーナーから借りた物件をテナント事業者にサブリースする仕組み。那古野エリアでの実績は1例目。
名古屋まちづくり公社の山田卓矢さんは「空き物件の持ち主は金銭的に困っているケースは少ないが、まち視点で考えると店が閉まっている様子はイメージがよくない。まちづくり団体や行政の取り組みなので、貸主に安心感を持ってもらえるのでは。出店者には経営支援や広報面でもサポートがあるのがメリット。地域とのコラボなど効果を期待する」と話す。にぎわいが少ないエリアでも、まずこの取り組みで掘り起こすことで、民間だけ行うよりもリスクが回避できるとし、「火付け役になれれば」(山田さん)とも。
田香子さんによると、同エリアへの出店は知人からの情報がきっかけ。聞いたその日に下見に行き一目ぼれしたという。商店街や古い街並み、地域の人の過ごし方などの雰囲気を気に入り、物件探しを始めるがなかなか希望通りには行かず、「借りることの難しさ」も感じたと振り返る。同事業の物件に出店することで「事前に街の人にも出店の情報を伝えてもらっていたので、近所にあいさつに行くと『聞いているよ』という反応なので、スムーズに受け入れてもらっていると思う」とほほ笑む。「近隣の飲食店でへべすを使ったメニューを開発してもらうなど、横のつながりができれば」とも。
営業時間は11時~19時。水曜定休。木曜は総菜や弁当の販売はない。