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エリア特集2009-09-26

名古屋の台所「柳橋中央市場」をマルナカ社長がご案内!
旬の味覚と現代の食事情〈秋編〉

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4回シリーズ(予定)で、名駅「柳橋中央市場」をレポートしている本特集。第2回目となる今回のテーマは、秋の食材。前回同様、「マルナカ食品センター」の安藤東元社長に市場内を案内してもらいながら、食材の旬や上手な選び方、おすすめの調理法などを紹介する。

実りの秋、食欲の秋

スポーツ、読書…と、秋から連想するキーワードは数あれど、やっぱり食が一番!という人も多いはず。「実りの秋」というだけに、食べ物が豊富で、おいしく感じられるこの季節。しかし作物は年中収穫できるのに、なぜ秋だけを「実りの秋」と呼ぶのか?そんな風に疑問を持ったことはないだろうか。実はもともとこの言葉は、日本人の主食である「米」を指すのだという。食にあふれた現代と違い、江戸時代までは米が不作の年は飢饉となり、米のでき具合で人口が増減するほどだとか。それくらい、米と日本人とは昔から結びつきが深く、日本社会に大きな影響を与えてきた作物なのだ。稲が無事成長し、収穫を迎えるこの季節は、まさに待ちに待った「実りの秋」と言える。もちろん米だけではない。秋はリンゴやブドウ、カキなどの果物や、クリやギンナンといった木の実も豊富。芽吹きの春に向け、植物たちが次の世代へ命をつなぐために実や種を結ぶ時季でもあるのだ。

左=ヤマボウシと呼ばれる木の実。サクランボとよく似た大きさと見た目で、生食やジャムに使われる。 右=岡山県産の「瀬戸ジャイアンツ」という品種のブドウ。種なしで、皮まで食べられるのが特徴。

愛知県稲沢市祖父江町は全国でも有数のギンナンの産地。東京にも、この時季愛知のギンナンがよく出回るそう。

秋の味覚を代表するカキとクリ。

安藤社長に旬の魚を尋ねると、こんな話が飛び出した。「春の“初ガツオ”と、秋の“戻りガツオ”。違いは分かりますか?同じカツオでも、味は全然違うんです。春に北海道まで北上し、南に下りてきたものを戻りガツオと呼びますが、産卵に備えて北の海でたっぷりエサを食べてきたため、体が大きく丸々と栄養を蓄えている。サッパリした初ガツオに比べて、秋のカツオは脂がのってうまいんです。刺身で食べると違いがよくわかりますね」。

旬のある一時期にしか食べられない野菜や果物と違って、たいていの魚は年中、海や川の中に生息している。しかし、季節によってその味わいは全く異なるのだ。カツオと同じように、サワラ、カツオ、サバ、ブリ、サンマ、サケなども、これからの時期、脂が乗って一段とおいしくなる。

左=漁港から運ばれてきた、鮮魚が並ぶコーナー。 中央= サワラは、写真のように背の部分がやや緑がかったものが、鮮度が良くおいしいとのこと。 右=秋~冬に旬を迎えるクエは、大きくなると体長が1.5メートルにもなるとか。ほどよく脂がのって上品な味わいは、鍋料理にぴったり。一般の市場にはなかなか出回らない高級魚で、幻の魚とも呼ばれている。

高いものにはそれなりの理由がある

市場内を巡っていると、同じ店の同じ種類の魚でも値段は全く違う、ということがよくある。たとえば今回も、素人目に見ればほとんど変わらない背格好のサンマが一匹100円と300円。3倍もの値段の違いは一体どこにあるのだろう。「背丈はほぼ変わらないけど、300円のほうがぷっくり身がついてるでしょ。これがおいしさを見分けるポイント。1020グラム違うだけで、脂ののりも全然違ってくるんだよ。あとは鮮度の良さ、活きの良さでも値段は随分変わってくるからね」と魚屋の店主。安藤社長いわく「同じ300円でも、質のいいサンマを一匹買うのか。それとも量を優先して100円を3匹買うのか…。どちらを選ぶかはもちろん買う人の自由ですが、とにかく何でも安ければお得、というほど単純なものではないんです」。

写真=手前が一匹300円、奥が100円のサンマ。それぞれ単体で見てもピンとこないが、よく見比べると確かに身のつき具合が違う)

また価格の変動は、単に鮮度やモノの良し悪しだけではない。ある店で聞いた話では、これから伊勢エビがどんどん安くなるという。なんでも、伊勢エビ漁の解禁に伴い出回る量も増えるからとか。「今なら大きいので5,000円だね。もう少し経つと、同じものが2,0003,000円で買えるようになるよ。でも暮れにはお歳暮用でまた1万円くらいに跳ね上がるんだ」と店主。価格に見合う、またそれ以上のいい買い物をしたいと思ったら、買い時を見極めるのも大切なポイントのようである。

(写真=先日解禁になったばかりの伊勢エビが元気に動き回る)

疲れた胃腸を整え、冬を迎えるために欠かせない秋の食材

次に、秋の野菜を見てみよう。これからニンジン、サトイモ、サツマイモ、レンコン、ゴボウといった根菜類や、シイタケ、マイタケ、シメジといったキノコが類が秋から冬にかけて旬を迎える。古代から伝わる中国医学「薬膳」の観点では、秋は夏に消耗した消化吸収機能を整え、基礎体力を養う季節。また、秋冬の乾燥から守り、肺や喉に潤いを与えたり、体を温めてくれる食材も多い。たとえばキノコ類は免疫力を高め、夏の疲れで落ち込んでいた「気」を補う効果が。またサツマイモにはカロチンやビタミンが豊富で、風邪の予防にもなる。秋の食材には、この時季私たちの体に必要な栄養が詰まっているというわけだ。

左=写真の海老芋はサトイモの一種で、よりねっとり&モッチリした食感が特徴だ。 右=立派な笠のシイタケは、一本一本袋をかぶせるなどして雨風から守り、大切に育てられたもの。

おいしいものを、よりおいしく食べるコツ

いい食材を手に入れたら、次に気になるのが調理方法。鮮度もモノもいい市場の食材は、やはりシンプルにナマや刺身が一番?いやいや、決してそんなことはない。「僕は生でも食べられるくらい新鮮なアワビを、焼いて食べるのが好きなんだよ。もちろん生ならではのコリコリとした食感や磯の風味もいいけれど、焼くと素材の持ち味がギュッと凝縮されて、うま味がより引き出されるから」と安藤社長。また、マツタケ売り場の店主からは「ハモやふぐはマツタケと合わせるのが最高だね。上品で淡白な味には、マツタケの繊細で上品な香りがよーく合うんだ。あとはマツタケならしゃぶしゃぶもうまいけど、ポイントはあえて安い肉を使うこと。たっぷりサシの入った高い肉を使うと、逆にマツタケの風味を消しちゃうから」、なんて話も。また同じ食材でも、生と火を通したものでは栄養価や効能が異なる場合も多々ある。食材の持ち味や、出始めと盛りの味の違い、食材同士の組み合わせに、栄養面等々…。食は知れば知るほど奥が深い。

秋の食によく合う熟成茶

秋の食によく合う熟成茶 さて食べ物だけでなく、実はお茶にも季節が関係あるのをご存じだろうか。春の新茶に対して、秋には「熟成茶」なるものが店頭に登場する。新茶の場合、新芽の香り を生かすように軽めに火入れを行うが、秋の熟成茶は、強めに火を入れるのが特徴。軽やかな香りの新茶とは違い、熟成茶では深い味わいを楽しむことができる という。これは、こっくりと濃厚な味が多くなる秋の料理にもピッタリなのだ。

(写真=かつて春に摘んだ新芽を夏の間蔵に寝かせておいたことから、「蔵出し茶」とも呼ばれる。茶葉や産地、火入れの仕方やブレンドの配合に至るまで、商品名は同じでも各店によって味わいは異なる

おいしくお茶を淹れるポイントを日本茶店で尋ねてみた。「一番重要なのはお湯の温度。一般的な煎茶の場合、お湯は約70度が適温です。お湯が沸騰したらまずは湯呑に移し、その間に茶葉を急須の中へ。さらにそのお湯を常温の急須に注ぐことで、大体適温になります」。お湯が熱すぎると茶葉の苦みや渋みが勝ってしまう。適温で淹れることで、本来の香りやうま味が引き出されるのだという。

最近では、お茶といえばペットボトル。家に急須がなく、お茶の淹れ方も知らない若者も増えているという。忙しい現代社会の中にあっても、旬を取り入れながら食を楽しむこと。また夕飯くらいは家族そろって食卓につき、食後は淹れたてのお茶で一服する…そんな心のゆとりは忘れずにいたいもの。市場内でさまざまな食材に触れながら話を聞いていると、そんな思いが湧きあがってくる。

マルナカ食品センターマルナカセンタービル本館/名古屋市中村区名駅4-15-2
マルナカ第二ビル/名古屋市中村区名駅4-16-23
TEL 052-581-8111
営業時間は4時~10時ごろ、営業日はホームページ参照

ライターPROFILE食&農ライター 中西沙織(なかにしさおり)
元エリア情報誌の編集&ライター。農業学校を卒業し、現在“食・農・くらし”にまつわる取材、原稿執筆を中心にフリーランスで活動中。

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