名駅の映画館「ピカデリー」閉館へ-ビル老朽化で52年の歴史に幕

52年前の開館当時の三井ビル北館、「セントラル劇場」(現ピカデリー2)、「アロハ映画劇場」(現ピカデリー1)

52年前の開館当時の三井ビル北館、「セントラル劇場」(現ピカデリー2)、「アロハ映画劇場」(現ピカデリー1)

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 名古屋三井ビル北館内6階・7階の映画館「ピカデリー1・2・3・4」(名古屋市中村区名駅4)が3月31日、ビルの老朽化のため52年の歴史の幕を閉じる。経営は中日本興行。

 同館は1954(昭和32)年、6階「セントラル劇場」(現ピカデリー2)、7階「アロハ映画劇場」(現ピカデリー1)の2劇場で開館。その後、「アロハ映画劇場」は「テアトル名古屋」、「シネラマ名古屋」へと館名を変更。「セントラル劇場」は一時期洋画成人館だったこともあった。1988(昭和63)年、「ピカデリー1」「ピカデリー2」に。現在600席の「ピカデリー1」は以前、1,038席を誇った時代もあったが、「日本人の体型変化に伴い、コンパクトだった座席を幅がゆったりとしたものに変更し、座席数を減らした」と振り返る同館支配人の森さん。

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 90年代、日本へのシネコン進出や、東京ではミニシアターブームが起こる中、「ニーズに応えるべくバラエティーに富んだキャパシティーを持つ目的」で、1995年に69席の「ピカデリー3」(6階)、翌年に71席の「ピカデリー4」(7階)を開館。内装のリニューアルを重ねているというが、館内はレトロモダンな雰囲気が漂う。スクリーン前に舞台があることもシネコンにはない「映画館」の特徴の一つ。壇上で舞台あいさつが行われてきたほか、過去にはイベントとしてオーケストラ付きの映画もあったという。

 「『映画館』と言えば、劇場もフロアごとに分かれていて、今の入れ替え制ではなく、1度入場すれば1日中ずっと映画を楽しめていたものだった」と森さん。学生時代にわずかな小遣いを握り、名古屋に映画を見に来ていたという。「そのころ、学生で映画を見に行くというのがステータス、優雅な感じだった」という森さんは「今とは違い、ビデオやDVDもなく、見逃したら次はいつ見られるか分からないものだった」と思い出を振り返る。「おなかもすいたけど、パンフレットも欲しい。うーん、パンフレットを買おう…といった具合。映画のチラシを集めたり、パンフレットを眺めたり、サントラのレコードを聴きながら映画を思い出す。映画と映画館での思い出がある、そういう楽しみ方だった」と映画館にまつわる思い出は尽きない。

 今月27日~31日には、閉館イベント「ピカデリー1・2・3・4閉館 大感謝祭『ありがとうピカデリー』夢と感動のフィナーレ」を開催。リクエストも募り、過去同館で上映した「大スクリーンでもう一度見たい作品」を上映する。作品は、「アラビアのロレンス」(27日)、「ローマの休日」(28日)、「七人の侍」(29日)、「十戒」(30日)、「スタンド・バイ・ミー」「愛と青春の旅立ち」(31日)を、今ではなくなってしまった上映スタイルの2本立てで上映する。

 また、「今ではジャンルとして崩壊してしまった」という怪獣映画とヤクザものをそれぞれ2本立てで上映する「イブニング上映 大スクリーンで観たい特選日本映画」も開催。上映作品は、「怪獣大戦争」と「宇宙からのメッセージ」(27日)、「網走番外地 南国の対決」と「太陽を盗んだ男」(28日)で、「宇宙つながりや、高倉健さんと言えば菅原文太さん」といった森さんが着目した共通項でセレクト。「2本立てを知らない世代、懐かしく思う世代にお越しいただければ。構成も地域により異なり、お目当ての映画の前に知らない映画を見るはめに…。でも、そこに発見があったりする…」とも。

 上映はすべて「ピカデリー1」で自由席。観覧料金は1作品につき500円(2本立ては1作品扱い)。

 「ピカデリー1」ロビーでは、ピカデリーの歴史をパネルで紹介しているほか、看板職人・紀平昌伸さんが同館のために描いた「ロッキー4」「E.T.」「ベン・ハー」などの映画看板や、昔の映画のポスターも展示。29日には、森さんが講師を務め、大ナゴヤ大学の企画「映画館関係者が熱く語る だから映画はやめられない!『果てしない映画への愛』」を開催する。入場無料。

 閉館イベントについて、「記憶に残るものを持って帰ってもらいたい。シネコンでは味わえない、映画館としての思い出。それが自分たちにしかできないオリジナルのことだと思う」と締めくくる。

 センチュリー豊田ビル内の「ピカデリー5・6」は営業を継続する。「ピカデリー1・2・3・4」の代替えとなる映画館については現在未定。

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