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名駅でディジュリドゥ奏者・GOMAさんのドキュメンタリー映画-3Dで公開

来名したGOMAさん(左)と松江哲明監督(右)

来名したGOMAさん(左)と松江哲明監督(右)

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 名駅西の映画館「シネマスコーレ」(名古屋市中村区椿町8、TEL 052-452-6036)で現在、ドキュメンタリー映画「フラッシュバックメモリーズ3D」が公開されている。

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 1月22日には松江哲明監督と出演のGOMAさんが来名した。同作品は、突然の交通事故で高次脳機能障がいを負ったディジュリドゥ(アボリジニの伝統楽器)奏者・GOMAさんの復活を撮影した3Dドキュメンタリー映画で、「東京国際映画祭」で観客賞を受賞した。シネマスコーレで3D映画を上映するのは初めて。

 GOMAさんは1998年、オーストラリアのアボリジニの聖地アーネムランドで開催されたディジュリドゥのコンペテションで準優勝を獲得。2004年にバンド「GOMA & The Jungle Rhythm Section」を結成し、国内外の大型フェスに出演して精力的な活動を続けていた。しかし、2009年11月に首都高速で追突事故に遭い、記憶の一部が消えてしまい、新しいことを覚えづらくなる高次脳機能障がいと診断される。ディジュリドゥが楽器であることも分からないほど記憶を失った状態からリハビリに取り組み、2011年復帰ライブを開催した。

 松江監督は女優・林由美香さんを追った「あんにょん由美香」で「毎日映画コンクール」ドキュメンタリー賞、ミュージシャン・前野健太さんが歌い歩く姿を74分のワンカットで撮った「ライブテープ」で「東京国際映画祭」日本映画・ある視点部門作品賞を受賞した俊英。本作では突然、映像が頭の中に飛び込んでくる症状「フラッシュバック」をアニメーションで表現。GOMAさんのスタジオライブの映像に、夫婦の日記、事故に遭う前の写真や録画、フラッシュバックが共存する新しい形のドキュメンタリー映画、3D映画として完成させた。

 GOMAさんは「映画の話を頂いた時に最も考えたのが、どこまで自分がオープンになれるのかということ。記憶の障がいや以前はできたことができないことを、自分でもまだ完全に受け入れられない状態だった。そこを表に出すことで、どういうリスクがあるのか、家族も含めて自分にどんなフィードバックがあるのかを考えた。やるなら、全てをさらけ出さないと監督やプロデューサーに失礼。その覚悟を決めるまで、少し時間が必要だった。監督には、見終わった時に笑顔になれる、元気になる映画にしてほしいとお願いした」と話す。

 松江監督は撮影を依頼された時、引き受けるかどうか迷ったという。「迷ったまま、復帰ライブを見に行った。その演奏が素晴らしくて、その場で撮ると決めた。ライブを見て、GOMAさんは僕の中で、病気の人から音楽の人に変わった」と振り返る。

 全編、音楽に満ちた構成は企画段階から考えていた。リハビリに苦しむGOMAさんの姿や、インタビューカットなどは撮影しなかったという。「余計な説明や、インタビュー映像はいらない。僕は障がいと戦うGOMAさんに興味を持ったのではなく、音楽を演奏するGOMAさんに心が震えた。そこを第一に映画に撮りたかった。3Dと5.1チャンネルのサラウンドで撮ることは、最初にライブを聴いた時から決めていた。GOMAさんが音楽で表現しているエネルギーに、負けない映像と音にしたかった」と監督。

 映画ではバンドの仲間たちと共にエネルギッシュな演奏を披露しているGOMAさんだが、復帰までの道のりは過酷なものだった。事故の後、しばらくは自分がミュージシャンであることも思い出せず、絵を描き続けたという。「意識が戻り、家に帰ってから、しばらく娘の絵の具を使って絵を描いていた。すると娘がパパの仕事はそれじゃないよ、と毎日僕に教えてくれたらしい。それで再び楽器を持った。でも、そのころは本当に5分前の記憶も消えていく状況だった。記憶に残らないものを残しておくために、日記を書き始めた」と話す。GOMAさんの日記と、彼を支える妻・純恵さんの日記。それぞれにつづられた言葉は、映画の中で何度も登場し、3年間の家族の苦しみ、そしてその中にも生まれる幸せな瞬間を伝えている。

 GOMAさんは完成した映画を見て「これで前に進める」と感じたという。「事故からの3年間は写真や映像、録音を掘り起こし、過去の空白を埋めるために時間を費やしてきた。同じように演奏できるように練習して、リハビリをやってきた日々。事故の前の自分ができたことを、また絶対にできるようになってやろうと思っていた。でも、この映画を見て、以前の自分を追い掛けるのではなく、今の自分の脳と体で生みだすことができる新しい世界に、エネルギーを使いたいと思えるようになった。勇気を出してこの映画をやろうと決めたことは、本当に良かったと思う」

 これからやりたいことも、たくさんあるというGOMAさん。「絵はずっと描き続けていて、個展も開催した。自分の生きてきた証しにと書いた日記の言葉から、勇気をもらったという声が届いた。絵も言葉も事故の前の自分には、まったくなかったもの。音楽とともに、見た人が元気になれるような作品にしていきたい。それが応援してくれる人へのお礼になる。もっと頑張らねば、まだまだ行けるぞと思う。自分で自分の映画から元気をもらってしまった」と笑顔を見せる。

 最後に監督は「今回は3Dで作ったので、シネマスコーレにかけてもらうのは無理だと思っていた。この映画のために3D上映を導入してくれたことに、本当に感謝している。あの広さの映画館で3Dを見ることは、日本中でもあまりないはず。ここでしかできない体験ができるので、名古屋の映画ファンはシネマスコーレを助けると思って、ぜひ見に来てほしい。内容は保障します」と来場を呼び掛けた。GOMAさんは「僕に起きたことは特別ではなく、誰にでも起こりうること。人生、いつ何があるか分かりませんが、視点を少し変えてみたら、マイナスをプラスに変えることはできる。映画を楽しんで、明るい気持ちで映画館を出てもらえたら」と話した。

 料金は、一般1,500円、学生1,300円、シニア1,100円。上映時間はホームページで確認できる。2月8日まで。

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