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名古屋城本丸御殿が完成、一般公開へ 10年にわたり復元工事

襖絵、天井板絵も美しい「上洛殿」上段之間

襖絵、天井板絵も美しい「上洛殿」上段之間

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 10年間にわたる復元工事を終えた名古屋城本丸御殿の一般公開に先駆け6月5日、内覧会が行われた。一般公開は6月8日から。

「上洛殿」にある花鳥風月をあしらった彫刻欄間

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 尾張藩主の住居と藩の政庁として1615(慶長20)年に徳川家康の命で建てられた名古屋城本丸御殿。1945(昭和20)年の第二次世界大戦末期の空襲で名古屋城天守、本丸御殿ともども、建物の全てを焼失した。

 幸いにも戦火を逃れ残った全国的にも類を見ない豊富な史料を基に、各分野の専門家らが協力し、2009年1月から復元工事が進められた。襖絵(ふすまえ)、天井板絵など障壁画は戦時中に取り外され保管されていたため実物が1049面も残っていた。このほか、実録図309枚、写真約700枚、礎石約2000個も復元に役立った。

 第一期公開は「玄関」と「表書院」、第二期は藩主が身内や家臣との対面・宴席に使った「対面所」と料理の配膳などを行った「下御膳所」、今回の第三期は、江戸幕府将軍が滞在・宿泊するために建てられた「上洛殿(じょうらくでん)」や将軍専用の風呂場「湯殿書院(ゆどのしょいん)」などを公開する。

 名古屋城本丸御殿の総面積3100平方メートルで、13棟の建物で構成される。総ヒノキ造りで、屋根は材木を3ミリほどの厚さに割った板「こけら」を使った、「こけら葺き」。

 最も絢爛(けんらん)豪華な建物という「上洛殿」は、徳川三代将軍・徳川家光の上洛(京都に行くこと)に併せて造られた。襖絵や天井板絵を彩る狩野派の絵は、当時の絵師が使った技法や顔料など分析を重ね、復元模写した。今もまだ復元作業は続いている。花鳥風月を細かな彫刻と鮮やか色で表現した彫刻欄間、金や七宝焼が使われる飾金具など、ぜいたくな造り。湯殿書院は、当時のサウナ式蒸し風呂がある浴室と上段の間、一之間、二之間からなる。

 名古屋城総合事務所の吉田祐治さんは「桃山文化の名残がある慶長期に建てられた玄関・表書院や対面所と、洗練された江戸文化が花開いた寛永期に建てられた上洛殿。部屋の機能や格式、造られた時代の違いによって、天井・欄間の造りや絵画表現なども異なっていて、見どころがたくさん。彫刻欄間や飾金具、絵画にいたるまで、建物全体が美しい芸術空間のようなので、ぜひ全国から見に来てほしい」と来場を呼び掛ける。

 一般公開初日の8日は、9時10分~30分にオープニングセレモニーを行う。河村たかし名古屋市長、名古屋城アンバサダーに就任する舘ひろしさんが参加を予定する。

 名古屋城入場料は500円(名古屋市高齢者=100円、中学生以下無料)。開園時間は9時~16時30分(8月31日までは~17時30分まで)。

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