古代から近現代においての名古屋の文化や芸能をテーマにした書籍「芸処(どころ)名古屋」が5月24日、発売された。
色鮮やかな徳川宗春着用の火事装束を掲載した「芸処名古屋」ページ
「芸どころ名古屋」のルーツを探ると見えてくる熱田神宮の門前町として栄えた古代~中世の熱田をはじめ、芸どころとして大きく花開いた近世、大都市に発展した近現代の名古屋において、事実や研究者による史実をベースに、名古屋とのゆかりや芸の特徴を解説。神楽や雅楽、踊りや狂言などの芸事、祭り、茶文化、和菓子、習い事、フィギュアスケート、バイオリン、醸造文化など、登場するモチーフやキーワードは幅広い。
編集・制作担当者によると「名古屋には芸どころをはじめとした魅力的なモノ・ストーリーが豊富にあるにもかかわらず、知られていない、生かされていないのが現状。フィギュアスケート王国であることや喫茶店好きといった今も続く文化は、古代から続く芸処の風土もあって受け継がれていると思う」と話す。
発行・原案は名古屋市。名古屋に関する著書も数多く持つ、南山大学名誉教授・東海学園大学客員教授の安田文吉さんが監修する。
「感覚に訴える本、手に取りやすい本、持ち続けたくなる本を目指した」(編集・制作担当者)といい、文字ばかりにならないよう、絵巻や図絵の画像、写真などを多数掲載するほか、尾張藩士で御畳奉行を務めた朝日文左衛門をキャラクター化し、案内役としてこぼれ話や豆知識などを掲載。専門的な知識がなくても「分かりやすく」「読みやすく」なるよう工夫した。
「この本を通じて『名古屋ってやっぱり芸どころのまちなんだ、名古屋の文化って面白いんだ』と気付いてもらい、『芸どころ名古屋』というイメージの確立に近付くことができれば」とも。
A5サイズ、156ページで、価格は1,650円。販売部数4000部。三省堂書店など一般書店のほか、クーレーベルオンラインストアで販売する。